「結局どのデッキが一番安定するの?」
2026年3月環境のTier 1は、ドラゴンテイル(PWR 26.5)、巳剣エンジン(25.5)、ヤミーエンジン(14.5)の三つ巴。パワーレベルではドラゴンテイルが頭一つ抜けているが、安定性という軸で見るとどうか。初動率・被り率・誘発耐性を超幾何分布で数値化し、三つのデッキを丸裸にする。
初動パーツの枚数比較
まず各デッキの「初動になるカード」を数える。ここでの初動とは、そのカード1枚から展開をスタートできるカードを指す。
| デッキ | 初動パーツ数 | うち1枚初動 | うち2枚コンボ |
|---|---|---|---|
| ドラゴンテイル | 12〜14枚 | 10枚 | 2〜4枚 |
| 巳剣エンジン | 10〜12枚 | 8枚 | 2〜4枚 |
| ヤミーエンジン | 8〜10枚 | 6枚 | 2〜4枚 |
ドラゴンテイルの初動パーツは最大14枚。これはテーマ内カードの多くが単体で展開を始められるためで、構造的な強みだ。一方ヤミーエンジンは1枚初動が6枚と少なく、残りは2枚コンボに依存する。
初動率の確率比較
超幾何分布で「初手5枚に初動が1枚以上ある確率」を計算する(40枚デッキ)。
| デッキ | 初動枚数 | 初手1枚以上 | 完全事故率 |
|---|---|---|---|
| ドラゴンテイル(14枚) | 14枚 | 89.6% | 10.4% |
| ドラゴンテイル(12枚) | 12枚 | 85.1% | 14.9% |
| 巳剣(12枚) | 12枚 | 85.1% | 14.9% |
| 巳剣(10枚) | 10枚 | 78.5% | 21.5% |
| ヤミー(10枚) | 10枚 | 78.5% | 21.5% |
| ヤミー(8枚) | 8枚 | 69.6% | 30.4% |
事故率の差は想像以上に大きい
ドラゴンテイル(14枚初動)の事故率10.4%に対し、ヤミー(8枚初動)は30.4%。10回に3回は初手で動けない計算だ。大会5回戦で考えると、ドラゴンテイルが事故するのは平均0.5回、ヤミーは1.5回。この1回の差が勝敗を分ける。
被り率 — 「引きすぎ」のリスク
初動が多いのは良いことだが、手札に初動が2枚以上集まると片方が「腐る」可能性がある。被り率(初手に2枚以上来る確率)を比較する。
| 初動枚数 | 1枚以上 | 2枚以上(被り) | 3枚以上 |
|---|---|---|---|
| 8枚 | 69.6% | 28.1% | 6.5% |
| 10枚 | 78.5% | 40.6% | 12.5% |
| 12枚 | 85.1% | 52.5% | 19.8% |
| 14枚 | 89.6% | 63.0% | 28.5% |
ドラゴンテイル(14枚初動)は63.0%の確率で初動が被る。10回に6回以上だ。普通のデッキならこれは問題になるが、ドラゴンテイルは違う。
ドラゴンテイルの被り耐性
ドラゴンテイルの初動パーツはそれぞれが独立して機能し、被っても展開ルートが分岐するだけで事故にならない。例えば初動Aで展開を始め、余った初動Bは次ターンのリカバリーや追加展開に使える。「被っても腐らない」構造がドラゴンテイル最大の強みであり、パワーレベル26.5の根拠の一つだ。
逆にヤミーエンジンは2枚コンボの片割れが被ると片方が死に札になりやすい。被り率28.1%でも実質的なダメージはドラゴンテイルより大きい。
誘発受け — 手札誘発への耐性分析
現環境では後攻側が誘発を6〜9枚投入するのが標準。先攻展開デッキにとって「誘発を食らっても展開が成立するか」は死活問題だ。
うらら(灰流うらら)を食らった場合の展開成立率
| デッキ | うらら1発で止まる確率 | 貫通できる確率 |
|---|---|---|
| ドラゴンテイル | 約15% | 約85% |
| 巳剣エンジン | 約30% | 約70% |
| ヤミーエンジン | 約45% | 約55% |
ドラゴンテイルは初動パーツが多いため、うららを1発食らっても別ルートで展開できる確率が85%。巳剣は展開がサーチに依存する場面が多く、うららの直撃率が高い。ヤミーは初動の少なさが祟り、うらら1発で展開が止まる確率が45%に達する。
誘発2発食らった場合
| デッキ | 展開成立率(誘発2発後) |
|---|---|
| ドラゴンテイル | 約55% |
| 巳剣エンジン | 約35% |
| ヤミーエンジン | 約20% |
誘発耐性でもドラゴンテイルが圧倒的
誘発2発を食らっても55%で展開が成立するドラゴンテイルに対し、ヤミーは20%。後攻側が誘発を9枚構成にしている場合、初手に2枚以上の誘発を持つ確率は74.4%。つまりヤミーエンジンは後攻側に誘発を2枚以上持たれるとほぼ止まる計算になる。
構成別の初動率シミュレーション
各デッキで誘発枠を変えたときに初動率がどう変わるかを比較する。
ドラゴンテイル(誘発枠を変動させた場合)
| 構成 | 初動枚数 | 誘発枚数 | 初動率 | 誘発率 |
|---|---|---|---|---|
| 攻撃型 | 14枚 | 6枚 | 89.6% | 57.9% |
| バランス型 | 12枚 | 9枚 | 85.1% | 74.4% |
| 誘発重視型 | 10枚 | 12枚 | 78.5% | 85.1% |
巳剣エンジン
| 構成 | 初動枚数 | 誘発枚数 | 初動率 | 誘発率 |
|---|---|---|---|---|
| 攻撃型 | 12枚 | 6枚 | 85.1% | 57.9% |
| バランス型 | 10枚 | 9枚 | 78.5% | 74.4% |
| 誘発重視型 | 8枚 | 12枚 | 69.6% | 85.1% |
ヤミーエンジン
| 構成 | 初動枚数 | 誘発枚数 | 初動率 | 誘発率 |
|---|---|---|---|---|
| 攻撃型 | 10枚 | 6枚 | 78.5% | 57.9% |
| バランス型 | 8枚 | 9枚 | 69.6% | 74.4% |
| 誘発重視型 | 6枚 | 12枚 | 57.9% | 85.1% |
ヤミーの構築ジレンマ
ヤミーエンジンは誘発を増やすと初動率が57.9%まで落ちる。2回に1回は初手で動けない。逆に初動を優先すると誘発が薄くなり、後攻で何もできない。ドラゴンテイルがバランス型(初動12+誘発9)でも85.1%の初動率を維持できるのとは対照的だ。
総合評価 — 数字が語る結論
| 評価項目 | ドラゴンテイル | 巳剣 | ヤミー |
|---|---|---|---|
| 初動率(バランス型) | 85.1% | 78.5% | 69.6% |
| 被り耐性 | 極めて高い | 普通 | 低い |
| うらら1発貫通率 | 85% | 70% | 55% |
| 誘発2発後展開率 | 55% | 35% | 20% |
| PWR | 26.5 | 25.5 | 14.5 |
結論: ドラゴンテイルの安定性は数学的に証明されている
初動率、被り耐性、誘発受け——すべての指標でドラゴンテイルがトップ。特に被り率が高くても事故にならない構造は、他のデッキには真似できない。巳剣はパワーレベルこそ25.5と高いが、安定性ではドラゴンテイルに一歩譲る。ヤミーエンジンはPWR 14.5が示すとおり、数学的にも安定性に課題がある。大会で勝率を最大化したいなら、現環境ではドラゴンテイル一択と言っていい。