遺言書の書き方
遺言書のうち、自分で書く自筆証書遺言は費用がかからず手軽ですが、方式を1つでも欠くと全部無効になります。要件は民法968条に定められた4つ——全文の自書・日付の自書・氏名の自書・押印。このテンプレートで印刷したものは下書きです。本文が活字なので、そのままでは自筆証書遺言になりません。内容を整理したら、全文を自分の手で書き写します。
遺言書の書き方 5ステップ
- このテンプレートで、遺言者・相続人と相続内容・遺言執行者を入力し、下書きを印刷する
- 下書きを見ながら、本文をすべて手で書く(パソコン・代筆は不可)
- 財産目録を付けるなら、目録だけはパソコンや通帳のコピーでもよい(各ページに署名押印)
- 作成した年月日を、日が特定できる形で手で書く
- 氏名を手で書いて印を押し、保管する(法務局の保管制度も検討)
記入項目の書き方
- 遺言者情報:氏名・生年月日・住所を書きます。
- 相続人・相続内容:例の「山田 花子(妻)」「自宅不動産(東京都千代田区…)および預金の2/3」のように、誰に何をが一つに読めるように書きます。不動産は登記事項証明書のとおり(所在・地番・家屋番号)、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで書きます。
- 遺言執行者:決めておくと手続きが円滑になります。未成年者と破産者はなれません(民法1009条)。
- 作成日:手で書き写す時も、「令和◯年◯月◯日」と日が特定できる形で書きます。「吉日」では日が特定できません。
- 氏名・押印:書き写した遺言書に、氏名を自分で書いて印を押します。968条は「印を押す」とだけ定めています。
書き方の注意点
- 4つの要件を欠くと効力が無い:遺言は、民法の方式に従わなければできません(960条)。全文・日付・氏名の自書と押印のどれかを欠くと、自筆証書遺言としての効力はありません(968条1項)。
- 財産目録だけは例外:2019年1月13日から、遺言と一体にして付ける相続財産の目録は、自書しなくてよくなりました(パソコンで作る・通帳のコピーを付ける など)。ただし、目録の毎葉に署名して印を押します(968条2項)。
- 法務局の保管制度:2020年7月10日から、法務局が自筆証書遺言を預かる制度が始まりました。手数料は保管の年数にかかわらず1通3,900円で、預けた遺言書は家庭裁判所の検認が要りません(法務省)。
- 検認が要る場合:法務局に預けていない自筆証書遺言は、相続が始まった後、保管していた人が遅滞なく家庭裁判所に出して検認を受けます(民法1004条1項)。封印のあるものは、家庭裁判所で相続人などの立会いの上でしか開けられず(1004条3項)、裁判所の外で開けると5万円以下の過料です(1005条)。
- 遺留分に注意:兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があり(民法1042条)、遺言で全財産を1人に渡しても、ほかの相続人から遺留分侵害額の請求を受けることがあります(1046条)。
- 訂正の方式が厳しい:書き加え・削除などの変更は、場所を示し、変更した旨を書き添えて署名し、変更の場所に印を押さないと効力を生じません(968条3項)。書き直すほうが安全です。
よくある質問
Q. パソコンで書いた遺言書は有効ですか?
A. 自筆証書遺言としては効力がありません(民法968条1項)。パソコンで作ってよいのは、財産目録だけです(968条2項)。このテンプレートの印刷も下書きとして使い、本文は手で書き写してください。公証人が作る公正証書遺言という方法もあります。
Q. 公正証書遺言との違いは何ですか?
A. 公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、公証人が作ります(民法969条)。家庭裁判所の検認も要りません(1004条2項)。手数料と証人が要りますが、方式の誤りで効力を失う心配が小さくなります。
Q. 遺言書は何度でも書き直せますか?
A. できます。遺言は、いつでも遺言の方式に従って撤回できます(民法1022条)。前の遺言と後の遺言が食い違う部分は、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます(1023条1項)。
参考(2026年11月時点):民法(e-Gov法令検索)・自筆証書遺言書保管制度が始まります!(法務省 広報誌)・自筆証書遺言書保管制度のご案内(法務省民事局)・遺言書の検認(裁判所)・民法(相続関係)改正法の施行期日について(法務省)