指導契約書の書き方
指導契約書は、家庭教師や学習塾が保護者と結ぶ契約書です。ここには他の業種にない強い規制があり、期間2か月を超え、かつ代金5万円を超える契約は、特定商取引法の特定継続的役務提供に該当します。該当すると、契約前の概要書面と契約時の契約書面の交付が義務になり、クーリング・オフと中途解約権が消費者に与えられます。
指導契約書の書き方 5ステップ
- 契約期間と総額(入会金・教材費も含める)を確かめ、特定継続的役務提供に当たるかを判断する
- 当たるなら、契約の前に概要書面を渡す(この書式とは別に作る)
- 指導者・保護者・生徒・指導科目・指導スケジュール・月謝・支払い方法を書く
- 当たるなら、法律で決まった事項(クーリング・オフ・中途解約など)を書いた契約書面を、契約の後に遅滞なく渡す
- 双方が署名押印する
記入項目の書き方
- 指導者名・保護者名・生徒名:契約するのは保護者です。例の「田中 太郎(中2)」のように、生徒の学年も添えます。
- 指導科目・指導スケジュール:例の「数学・英語」「毎週火・木 18:00〜19:30」のように、科目・曜日・時間を書きます。指導の場所と1か月の回数も書き添えると、後で食い違いません。
- 月謝:例の「月額20,000円」のように書きます。入会金・教材費・交通費があるなら、分けて書き添えます。中途解約の時の精算の元になります。
- 支払い方法:例の「毎月末日までに銀行振込」のように、いつまでに・どうやって払うかを書きます。
- 書く欄が無いもの:契約期間(始まりと終わりの日)、担当者が替わる時の扱い、関連商品(教材を別に売る時)、クーリング・オフと中途解約の事項は、この書式に欄がありません。特定継続的役務提供に当たる契約なら、これらは法律で書く事項です。
書き方の注意点
- 特定継続的役務提供の要件:家庭教師(学習塾以外の場所での学力の教授)と学習塾は、どちらも期間が2か月を超え、金額が5万円を超える契約が対象です。入学金・受講料・教材費・関連商品の販売など、契約金の総額で判断します。幼稚園・小学校の受験対策は含まれません(消費者庁)。
- 概要書面と契約書面:契約の前に概要書面を、契約の後に遅滞なく契約書面を渡します。役務の内容・金額・支払の時期と方法・提供期間・クーリング・オフ・中途解約などを書く決まりで、書面をよく読むべきことと、契約書面のクーリング・オフの事項は赤枠の中に赤字で書き、字は8ポイント以上にします(消費者庁)。この書式はこれらを満たしていないので、当たる契約には別に法定の書面を作ります。
- クーリング・オフは8日:法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面か電磁的記録で契約を解除できます(関連商品の販売契約も含む・消費者庁)。
- 中途解約の上限:クーリング・オフの期間が過ぎても、将来に向かって中途解約できます。事業者が請求できる額の上限は、指導を始める前なら家庭教師2万円・学習塾1万1000円。始めた後なら、提供済みの分の対価に、家庭教師は5万円か1か月分の授業料相当額の低いほう、学習塾は2万円か1か月分の授業料相当額の低いほうを足した額です。それより多く受け取っていれば、残りを返します(消費者庁)。
- 前受金の管理:月謝を先に受け取るなら、まだ指導していない分は前受金として管理します。中途解約の時に返す額の元になります。
- 消費税は課税:非課税になるのは、学校教育法の学校・専修学校・一定の各種学校などの授業料です(国税庁 No.6201)。家庭教師の指導料はこれに当たらず、消費税の課税の対象です。
よくある質問
Q. 個人で家庭教師をする場合も特定商取引法の対象ですか?
A. 業として反復継続して行うなら対象になり得ます。期間2か月超・5万円超の要件を満たすなら、書面交付義務が生じます。
Q. 月謝制なら5万円を超えませんが対象外ですか?
A. 判断は契約金の総額で行います(入学金・受講料・教材費・関連商品の販売なども含む・消費者庁)。月1万円でも6か月契約なら6万円となり、要件を満たします。
Q. 途中でやめたいと言われたら全額もらえませんか?
A. 中途解約は拒めません。請求できるのは、提供済みの分の対価と、決まった上限の範囲の額までです(家庭教師で指導を始めた後なら、5万円か1か月分の授業料相当額の低いほう・消費者庁)。
参考(2026年11月時点):特定継続的役務提供(消費者庁 特定商取引法ガイド)・No.6201 非課税となる取引(国税庁)