家庭教師の請求書の書き方
家庭教師の請求書は、個人で指導を行う人が家庭や紹介会社へ代金を請求する書類です。個人事業主が出す請求書で毎回迷うのが源泉徴収されるかどうかと交通費の扱い。保護者(給与を払っていない個人)が払う指導料は源泉徴収されませんが、紹介会社などが払う指導料は、知識の教授の報酬として源泉徴収の対象になります(国税庁)。誰に請求するかで、振り込まれる額が変わります。
家庭教師の請求書の書き方 5ステップ
- 請求書番号と発行日を書く
- 宛先(保護者名または紹介会社名)を書く
- 指導実施日と回数、1回あたりの単価を明細で書く
- 交通費や教材費があれば分けて記載する
- 消費税と合計額を出し、振込先と支払期日を書いて送る
記入項目の書き方
- 請求日・請求番号・対象月:例の「TI-2026-04」「2026年4月分」のように、番号と対象の月をそろえると、入金の確かめが楽になります。
- 保護者名・生徒名:宛先は保護者(紹介会社に請求するなら会社名)。例の「田中 花子 様」のように敬称を付けます。
- 明細:品目に「◯月◯日 90分×2コマ」のように実施日と時間を、数量と単位に回数を入れます。単価は1時間あたりか1コマあたりかをそろえ、学年や科目で違うなら行を分けます。交通費・教材費も行を分けて書きます。
- 消費税率:家庭教師の指導料は消費税の課税の対象で、税率は10%です。非課税になるのは学校教育法の学校などの授業料で、家庭教師の指導料はこれに当たりません(国税庁 No.6201)。消費税を上乗せしない免税事業者なら0%を選びます(画面の表示は「非課税」ですが、免税事業者であることと非課税の取引とは別のものです)。
- 登録番号(インボイス):適格請求書発行事業者の登録を受けていれば、例の「T1234567890123」のように書きます。登録していなければ空けます。
- 備考:振込先(口座名義はフルネームで)、支払期日、振込手数料をどちらが持つかを書きます。
書き方の注意点
- 源泉徴収の対象か:知識の教授の報酬は、所得税法204条1項1号の報酬・料金に含まれます(所得税法施行令320条1項)。国税庁の「源泉徴収のあらまし」でも、技芸・スポーツ・知識等の教授・指導料として、税率は10.21%(同じ人に1回に払う額が100万円を超える部分は20.42%)です。紹介会社など源泉徴収の義務がある者が払う時は差し引かれ、保護者のように給与を払っていない個人が払う時は差し引かれません(No.2502)。紹介会社に雇われて給与としてもらう場合は、扱いが違います。
- 交通費は分けて書く:分けて書くと、経理も相手の確認もしやすくなります。ただし、分けても消費税の課税の対象になるのは同じです。国税庁の質疑応答事例(弁護士の例)では、実費の交通費も、交通機関への支払が実質的に依頼者の直接払いと認められない限り、報酬に含まれるとされています。源泉徴収でも、旅費などは原則として報酬・料金に含まれます(No.2795)。
- 免税事業者と登録番号:免税事業者は、そのままでは登録番号がありません。登録を受けると課税事業者になり、適格請求書を出せます。登録した小規模な事業者には、納める税を売上の税額の2割にできる特例(令和8年9月30日の属する課税期間まで)と、個人事業者が令和9年・令和10年に3割にできる特例があります(国税庁 No.6498)。
- 月謝制との違い:月謝は前払いの定額、請求書は実施の実績に基づく後払いが基本です。混ぜると未収の管理が崩れます。どちらの方式か決めてそろえます。
- 保存期間:白色申告の個人事業者は、請求書・領収書などの書類を5年、収入や経費を書いた帳簿を7年保存します(国税庁 No.2080)。青色申告なら帳簿書類は原則7年で、請求書・見積書・納品書などは5年でよいとされています(No.2070)。
- 確定申告:要るかどうかは、その年の所得の合計が所得控除の合計を超え、その分の税額が配当控除などより大きいかで決まります(国税庁 No.2020)。基礎控除は令和7年分から変わり、所得の額によって違います(No.1199)。会社員などで給与を1か所からもらい、全部が源泉徴収されているなら、給与と退職以外の所得が20万円を超えると申告が要ります(No.1900)。
よくある質問
Q. 交通費にも消費税がかかりますか?
A. かかります。国税庁の質疑応答事例(弁護士の例)では、実費の交通費も、交通機関への支払が実質的に依頼者の直接払いと認められない限り、報酬に含まれて課税の対象とされています。
Q. 源泉徴収されて振り込まれた場合はどうしますか?
A. 確定申告で精算します。支払調書または振込明細を保管し、源泉徴収済みの税額を申告書に記載してください。
Q. インボイス登録はすべきですか?
A. 取引先が事業者(紹介会社など)で仕入税額控除を必要とするなら検討します。個人の家庭が相手なら、登録の必要性は低くなります。
参考(2026年11月時点):所得税法施行令(e-Gov法令検索)・源泉徴収のあらまし 令和8年版 第5 報酬・料金等の源泉徴収事務(国税庁)・No.2502 源泉徴収義務者とは(国税庁)・No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき(国税庁)・質疑応答事例「実費弁償金の課税」(国税庁)・No.6201 非課税となる取引(国税庁)・No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)(国税庁)・No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度(国税庁)・No.2070 青色申告制度(国税庁)・No.2020 確定申告(国税庁)・No.1199 基礎控除(国税庁)・No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)