施工体制台帳の書き方
施工体制台帳は、建設工事に関わるすべての下請業者と技術者を一覧にした帳簿です。建設業法24条の8により、発注者から直接工事を請け負った特定建設業者が、下請契約の請負代金の総額が一定額以上になる場合に作成する義務があります。目的は誰がどの範囲を施工しているかを明らかにして、安全と品質、そして適正な施工を確保すること。現場に備え置き、発注者から請求があれば閲覧させる必要があります。
施工体制台帳の書き方 5ステップ
- 元請業者名・建設業許可番号・現場代理人を記入する
- 工事名称・発注者名を記入する(工期・請負金額は書き足す)
- 下請業者ごとに、業者名・工種・代表者・許可番号を記入する
- 監理技術者・主任技術者・専門技術者など、欄のない事項を書き足す
- 施工体系図を作成し、現場に掲示する
記入項目の書き方
- 元請業者名・建設業許可番号・現場代理人:元請の商号と許可番号。許可年月日は欄がないので書き足します。
- 工事名称・発注者名:契約書と同じ表記で書きます。工期と請負金額は書き足します。
- 下請業者一覧:1行に1社、「業者名 / 工種 / 代表者 / 許可番号」の形で書きます。工種はどの範囲を担当するかが分かるように書き、重複や空白がないか確かめます。無許可業者と契約していないかの確認にもなります。
- 監理技術者・主任技術者:欄がないので、氏名と資格を書き足します。専任が必要な工事では原則として他現場と兼務できません(一定の要件を満たす場合の例外があります。建設業法26条3項ただし書)。
- 下請の工期・再下請の情報:各社の着手日と完了日、二次・三次下請の情報は、欄がないので書き足します。再下請負通知書を受けて追記します。
- 社会保険等の加入状況:下請負人の健康保険等の加入状況も台帳の記載事項です(建設業法施行規則14条の2)。欄がないので書き足します。
書き方の注意点
- 作成義務が生じる金額:建設業法施行令7条の4により、下請契約の請負代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)の場合、特定建設業者は施工体制台帳の作成が必要です(2025年2月1日から現行の金額)。
- 公共工事は金額を問わない:公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律により、公共工事では下請契約を締結したすべての場合に作成義務があります。
- 施工体系図の掲示:台帳とあわせて施工体系図を作成し、工事関係者が見やすい場所(公共工事では公衆が見やすい場所にも)に掲示します。
- 現場への備付け:台帳は工事現場ごとに備え置きます。発注者から請求があれば閲覧に供する義務があります。
- 保存期間:台帳の備置きは目的物の引渡しまでです(建設業法施行規則14条の7)。その後は、台帳のうち監理技術者・主任技術者や下請負人に関する事項の部分を帳簿に添付して5年間(発注者と締結した住宅を新築する工事は10年間)、施工体系図は営業に関する図書として目的物の引渡しから10年間保存します(同規則26条・28条)。
- 再下請負通知書:一次下請が二次下請と契約した場合、元請に対して再下請負通知書を提出します。元請はこれを受けて台帳を更新します。
よくある質問
Q. 下請金額が基準未満なら作成不要ですか?
A. 民間工事では不要です。ただし公共工事は金額にかかわらず必要です。また発注者から求められることもあります。
Q. 台帳はいつまでに作成しますか?
A. 下請契約を締結したときに遅滞なく作成し、工事の進行に応じて随時更新します。工事着手前に整えるのが基本です。
Q. 電子データで作成・保存できますか?
A. できます。現場で速やかに閲覧できる状態にしておく必要があります。
参考(2026年10月時点):建設業法(e-Gov法令検索)、建設業法施行令(e-Gov法令検索)、建設業法施行規則(e-Gov法令検索)、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(e-Gov法令検索)、国土交通省 報道発表(技術者の専任・施工体制台帳等の金額要件の見直し)