請負契約書の書き方
請負契約書は、仕事の完成を約束し、その結果に対して報酬を支払う契約です(民法632条)。業務の遂行を約束する委任・準委任との最大の違いはここで、請負では、完成しなければ原則として報酬を請求できません。ただし、注文者の責任でない事情で完成できなくなった時や、完成の前に解除された時でも、できた部分が分けられ、それで注文者が利益を受けるなら、その割合に応じた報酬を請求できます(民法634条)。
請負契約書の書き方 5ステップ
- 注文者(甲)と請負者(乙)を書く
- 工事・業務名と請負内容の詳細、工事場所を書いて、完成させる物を特定する
- 請負代金と支払条件(着手時・完成時など)を書く
- 着工日と完成期日を入れる
- 検査・引渡し・契約不適合・遅延損害金・再委託の取り決めが要るなら別に書面で定め、署名押印する(請負の契約書は印紙税の第2号文書)
記入項目の書き方
- 注文者(甲)・請負者(乙):会社名と代表者名を書きます。
- 工事・業務名・請負内容の詳細:何をもって完成とするかが分かるように、範囲・数量・仕様まで書きます。「◯◯工事一式」だけでは、後で範囲がもめます。
- 工事場所:仕事をする場所の住所を書きます。
- 請負代金:総額と、消費税を含むか(税込・税別)を書きます。
- 着工日・完成期日:遅れた時の遅延損害金を書く欄は無いので、決めるなら別に定めます。
- 支払条件:例の「着工時30%、完成時70%」のように、いつ・いくら払うかを書きます。決めなければ、報酬は目的物の引渡しと同時に払います(民法633条)。
書き方の注意点
- この書式に入っている条文:印刷すると、入力した項目のあとに「反社会的勢力の排除」「協議解決」「合意管轄(被告の住所地の裁判所)」の3つの条文が入ります。検査・引渡し・契約不適合責任・解除・遅延損害金・再委託の条文は入っていません。
- 委任・準委任との違い:請負は仕事の完成を約束し(民法632条)、準委任は事務の処理を任せます(656条)。準委任の受任者は善良な管理者の注意で業務を処理し(644条)、報酬は特約がある時に、原則として業務を終えた後に請求します(648条)。印紙税でも、どの文書に当たるかは題名でなく中身で判断されます(国税庁 No.7100)。
- 注文者はいつでも解除できる:請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して解除できます(民法641条)。請負人の側には、この決まりはありません(注文者が破産手続開始の決定を受けた時は、請負人も解除できる・642条)。
- 割合的報酬:注文者の責任でない事情で完成できなくなった時や、完成の前に解除された時でも、できた部分が分けられ、それで注文者が利益を受けるなら、その割合に応じて報酬を請求できます(民法634条)。
- 契約不適合責任の期間:注文者は、不適合を知った時から1年以内に請負人へ知らせないと、修補・減額・損害賠償・解除を求められなくなります(民法637条1項)。引き渡した時に請負人が不適合を知っていた、または重大な過失で知らなかった時は、この期間の制限はありません(637条2項)。
- 収入印紙:請負の契約書は第2号文書で、書いた契約金額で税額が決まります(100万円を超え200万円以下は400円など・国税庁 No.7102)。建設工事の請負の契約書で、契約金額が100万円を超えるものは、令和9年3月31日までに作るものの税額が軽くなります(No.7108)。営業者の間で続けて請負の取引をするための基本の契約書は、第7号文書(4,000円)に当たることがあります(No.7104)。
よくある質問
Q. 請負と業務委託は違いますか?
A. 民法に「業務委託契約」という名前の契約は無く、仕事の完成を約束するなら請負(民法632条)、事務の処理を任せるなら準委任(656条)の決まりが当てはまります。成果物の完成を約束するなら請負です。
Q. 完成前に注文者から解約されたら報酬はもらえませんか?
A. 注文者が民法641条で解除する時は、請負人の損害を賠償します。また、できた部分が分けられ、それで注文者が利益を受けるなら、その割合に応じた報酬を請求できます(634条)。
Q. 収入印紙を貼らないと契約は無効ですか?
A. 契約は、書面が無くても成立します(民法522条2項)。印紙を貼らなかった時に決まっているのは税の扱いで、本来の印紙税の3倍の過怠税が徴収されます。調査で分かる前に自分から税務署に申し出れば、1.1倍に軽くなります(国税庁 No.7131)。
参考(2026年11月時点):民法(e-Gov法令検索)・No.7102 請負に関する契約書(国税庁)・No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置(国税庁)・No.7104 継続的取引の基本となる契約書(国税庁)・No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断(国税庁)・No.7131 印紙税を納めなかったとき(国税庁)