原状回復確認書の書き方
原状回復確認書は、賃貸物件の退去時に部屋の状態を貸主と借主が一緒に確認し、修繕費の負担を取り決める書類です。特に問題になるのは「どこまでが借主の負担か」です。民法621条と国土交通省のガイドラインでは、通常の使用による損耗(通常損耗)と経年変化は貸主の負担とされており、これが判断の出発点になります。
原状回復確認書の書き方 5ステップ
- 退去日に、貸主(管理会社)と借主が立ち会う
- 部屋ごとに損傷箇所を確認し、写真を撮る
- 各箇所について、通常損耗か借主の過失かを判断して記録する
- 借主負担分の修繕内容と概算費用を確認する
- 双方が署名し、各1通を保管して敷金精算へ進む
記入項目の書き方
- 確認日・物件名・借主名:立会いの日と対象の部屋、借主の氏名。貸主側の立会者の氏名は欄がないので、その他・備考に書き足します。立会いなしの精算は争いのもとです。
- 壁・天井/床/キッチン/浴室・トイレ/その他・備考:「和室 畳 日焼けによる変色」のように、場所と状態を具体的に。撮影した写真の番号も添えると、後から状態を証明できます。
- 負担の区分:専用の欄はないので、各欄に貸主負担か借主負担かをその場で書き添えます。判断が分かれた箇所は「協議」と書いて持ち帰ります。
- 修繕費用見積:借主負担分の金額まで合意できれば書きます。見積が必要なら「後日見積提示」と記載します。
- 敷金返還額:敷金から、未払賃料や借主負担の修繕費など借主の債務の額を差し引いた残額です(民法622条の2)。
- 入居時の状態:入居時のチェックリストや写真があれば照合します。
書き方の注意点
- 通常損耗は貸主負担:民法621条により、借主は通常の使用および収益によって生じた損耗、経年変化を除いて原状回復義務を負います。家具設置による床のへこみ、日照によるクロスの変色、画鋲の穴などは通常損耗にあたるとされています。
- 借主負担とされやすいもの:ガイドラインの例示では、タバコのヤニや臭い、飼育ペットによる傷や臭い、結露を放置したことにより拡大したカビ、引越し作業で生じたひっかき傷など、通常の使用を超える使い方や手入れの悪さによる損傷が挙げられています。
- 経過年数を考慮する:ガイドラインでは、クロスなどは経過年数に応じて価値が減少するため、借主負担も年数に応じて減額されます(クロスは6年で残存価値1円など)。
- 特約の有効性:ハウスクリーニング代を借主負担とする特約のように、借主に特別の負担を課す特約について、ガイドラインは①特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること、②借主が通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことを認識していること、③借主が特約による義務負担の意思表示をしていること、の3つの要件を挙げ、満たしていなければ効力を争われることに十分留意すべきとしています。
- 立会いには必ず参加する:立会いなしで後から請求されると、状態を争いにくくなります。日程が合わなければ代理人を立てるか、写真を残して退去します。
よくある質問
Q. 敷金はいつ返ってきますか?
A. 民法622条の2により、賃貸借が終了して部屋を明け渡した後に、借主の債務(借主が負担する修繕費など)を差し引いた残額が返還されます。民法に「何日以内」という期限はないため、契約書の定めを確かめてください。
Q. 高額な請求を受けたらどうすればよいですか?
A. 内訳の提示を求め、ガイドラインに照らして通常損耗が含まれていないか確認します。折り合わない場合は消費生活センターや少額訴訟の利用も選択肢です。
Q. 入居時に写真を撮っておくべきですか?
A. 強く勧められます。入居時の傷を退去時に請求されることを防げます。日付が分かる形で保存してください。
参考(2026年10月時点):民法(e-Gov法令検索)、国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料(PDF)