家賃督促状の書き方
家賃督促状は、滞納された賃料の支払いを求める書面です。賃貸借は続く関係なので、滞納があっても、すぐに契約の解除が認められるとは限りません。解除には相当の期間を定めた催告が要り、その期間を過ぎた時の不履行が軽微なら解除できません(民法541条)。判例は、賃料の長期の不払いなど、賃借人の義務違反がひどく、契約を続けるのが著しく難しくなるほどの背信行為がある時に、催告なしの解除を認めています(いわゆる信頼関係破壊の法理・国土交通省の賃貸住宅標準契約書の解説)。だから督促は段階を踏み、その記録を残すことが大事になります。
家賃督促状の書き方 5ステップ
- 滞納の月と金額を確かめる
- まず電話や書面で支払いを促す(この書式は、その最初の穏やかな督促状)
- 通知日・借主名・物件名・滞納月・未払い金額・支払い期限を入れて送る
- 保証会社が付いていれば、契約の定めに従って速やかに知らせる
- 払われない時は、内容証明郵便で相当の期間を定めた催告をして、解除を検討する
記入項目の書き方
- 通知日・借主名・物件名:印刷すると借主名のあとに「様」が付くので、欄には敬称を書きません。物件名は例の「サンプルハイツ 201号室」のように部屋番号まで。
- 滞納月・未払い金額:例の「2026年1月分・2月分」「金160,000円」のように書きます。共益費や駐車場代が含まれるなら、内訳を分けると伝わりやすくなります。
- 支払い期限:日付で書きます。
- 書く欄が無いもの:差出人(貸主・管理会社)の名前と連絡先、振込先は、この書式では印刷されません。印刷した後に書き添えます。払えない事情があるなら連絡してほしい旨も添えると、分割や退去の話に進めます。
- 印刷される文:「お支払い期限を過ぎても入金の確認ができておりません。至急お支払いくださいますようお願い申し上げます」と、行き違いのおわびの一文が入ります。解除を予告する文は入っていません。
書き方の注意点
- 解除には催告が要る:契約を解除するには、原則として相当の期間を定めた催告が要ります(民法541条)。内容証明郵便に配達証明を付けて送り、届いた日を残します。
- やってはいけない取立て:鍵の交換、荷物の撤去、無断での立入り、張り紙など、裁判の手続によらずに自分で取り立てると、損害賠償を求められたり、住居侵入(刑法130条)などの罪に問われたりするおそれがあります。
- 保証会社への通知は早く:保証の契約で、滞納から一定の期間内に知らせることが保証の条件になっていることがあります。遅れると保証されないおそれがあります。
- 記録を残す:督促した日、方法、相手の反応をすべて記録します。訴えになった時、催告をしたことや経緯を示すのに使えます。
- 時効に注意:賃料の請求は、権利を行使できると知った時から5年で時効になります(民法166条1項1号)。長く放っておくと回収できなくなります。
よくある質問
Q. 1か月の滞納で退去してもらえますか?
A. 難しいことが多いです。解除には相当の期間を定めた催告が要り、不履行が軽微なら解除できません(民法541条)。催告なしの解除を判例が認めているのは、賃料の長期の不払いなど、契約を続けるのが著しく難しくなるほどの背信行為がある時です(国土交通省の賃貸住宅標準契約書の解説)。
Q. 鍵を交換して入れないようにしてもよいですか?
A. してはいけません。裁判の手続によらずに自分で追い出すことは認められず、損害賠償を求められたり、住居侵入(刑法130条)などの罪に問われたりするおそれがあります。
Q. 連帯保証人に直接請求できますか?
A. できます。連帯保証人には、まず借主に請求するよう求める権利(催告の抗弁)も、先に借主の財産から取るよう求める権利(検索の抗弁)もありません(民法454条)。
参考(2026年11月時点):民法(e-Gov法令検索)・刑法(e-Gov法令検索)・内容証明(日本郵便)・賃貸住宅標準契約書 平成30年3月版の解説コメント(国土交通省)