発注書の書き方
発注書は、相手に仕事や物品を注文する意思を伝える書面です。契約は、申込みに対して相手方が承諾をしたときに成立する(民法522条)ため、発注書は通常申込みにあたり、相手の承諾(注文請書の返送など)で契約が成立します。取適法(2026年1月1日に下請法から改正・改称)の対象となる取引では、委託事業者は発注のときに、給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法などを書面または電磁的方法で明示しなければなりません。
発注書の書き方 5ステップ
- 発注番号と発注日を書く
- 発注先(会社名・氏名、担当者名)と、発行者情報(自社の名称・住所・連絡先)を書く
- 明細に品目・サービス名、数量、単位、単価、金額を書く
- 消費税率を選び、小計・消費税額・合計金額を確かめる
- 納品希望日と、備考・納品条件(納品場所・検査方法・支払期日・支払方法など)を書いて送付する
記入項目の書き方
- 発注日:発注した日を書きます。取適法の対象取引でも、支払期日は発注日ではなく、給付を受領した日から数えます。
- 品目・サービス名:「◯◯一式」を避け、仕様や規格まで書きます。曖昧だと、検収のときに食い違いが起きやすくなります。
- 数量・単価・金額:金額が決まっていない場合は、算定方法を書いておくと後の食い違いを防げます。取適法の対象取引では、内容を定められないことに正当な理由がある事項は、定まった後直ちに明示します。
- 消費税率:品目に合わせて税率を選び、小計・消費税額・合計金額が合っているかを確かめます。
- 納品希望日:希望する納期を書きます。相手が応じられない場合は、注文請書などで調整します。
- 備考・納品条件:納品場所、検査方法と検査の期間、支払期日、支払方法など、明細に書けない条件を書きます。
書き方の注意点
- 取適法の発注内容の明示:委託事業者は、製造委託等をした場合は直ちに、給付の内容・製造委託等代金の額・支払期日・支払方法などを、書面または電磁的方法で中小受託事業者に明示しなければなりません(取適法4条)。電子メールなどの電磁的方法は、中小受託事業者の承諾がなくても使えます。
- 支払期日は60日以内:検査をするかどうかを問わず、給付を受領した日から起算して60日の期間内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めなければなりません(取適法3条)。期日までに支払わないと、受領日から60日を経過した日から遅延利息(年率14.6%)がかかります。
- 収入印紙:単なる発注書(申込みの事実を証明する文書)は、通常は印紙税の課税対象になりません。ただし、①基本契約などに基づく申込みで、その申込みにより自動的に契約が成立するもの、②見積書など相手方が作成した文書に基づく申込みであることが書かれているもの(①②とも、相手方が別に請書などを作成する旨の記載があるものを除く)、③双方の署名または押印があるものは契約書として扱われ、請負の内容なら第2号文書(請負に関する契約書)として課税されることがあります。備考に「お見積書に基づき発注します」と書く場合は②に注意します。
- 注文書との違い:呼び方の違いです。印紙税では、申込書・注文書・依頼書などの名称であっても、契約の成立を証明する目的で作成されたものは契約書になるものがあります。
- 保存:取適法の対象取引では、委託事業者は給付・受領・代金の支払などを記載した書類または電磁的記録を作成し、保存しなければなりません(取適法7条。保存のしかたは公正取引委員会規則で定められています)。税務上は帳簿書類として、法人は原則7年、個人事業主は書類の種類に応じて5年または7年保存します。
よくある質問
Q. 発注書だけで契約は成立しますか?
A. 通常は成立しません。契約は、申込みに対して相手方が承諾をしたときに成立します(民法522条)。ただし基本契約で「発注書の送付をもって契約成立」と定めていれば、その取決めに従います。
Q. メールでの発注でも取適法の明示になりますか?
A. なります。取適法では、発注内容の明示は書面または電磁的方法で行うことができ、電子メールなどは中小受託事業者の承諾がなくても使えます。
Q. 発注後にキャンセルできますか?
A. 契約の種類によって扱いが変わります。請負の場合、注文者は、請負人が仕事を完成しない間は、いつでも損害を賠償して契約を解除できます(民法641条)。ただし取適法の対象取引では、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに給付の受領を拒むことや、給付の内容を変更させて利益を不当に害することが禁止されています(取適法5条)。
参考(2026年10月時点):e-Gov法令検索 民法(第522条・第641条)/e-Gov法令検索 製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)/公正取引委員会 取適法リーフレット/国税庁 No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い/国税庁 No.7102 請負に関する契約書/国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間