不動産売買契約書の書き方
不動産売買契約書は、土地や建物を売買する条件を定める契約書です。金額が大きく、契約から引渡しまで期間が空くため、その間に何が起きたらどうするかを定める条項が中心になります。特に手付解除の期限と住宅ローン特約は、買主が契約から抜けられるかどうかを決める重要な条項です。
不動産売買契約書の書き方 5ステップ
- 物件を特定する(所在・地番・地目・地積、家屋番号・構造・床面積)
- 売買代金と、手付金・中間金・残代金の内訳と支払時期を定める
- 所有権移転と引渡しの日を定める
- 手付解除の期限、住宅ローン特約、契約不適合責任を定める
- 公租公課の精算方法を定め、2通作成して署名押印する
記入項目の書き方
- 所在地・種別・面積:登記事項証明書の記載どおりに書きます。地番・家屋番号など欄に入らない事項は書き足します。実測と登記面積が異なる場合の扱い(実測売買か公簿売買か)も定めます。
- 売買代金:土地と建物を分けて記載します。建物には消費税がかかるため(売主が事業者の場合)内訳が必要です。
- 手付金:額を書きます。宅建業者が自ら売主となる場合(買主が宅建業者のときを除く)、代金の額の10分の2を超える手付は受領できません(宅建業法39条1項・78条2項)。
- 手付解除の期限:この書式に欄はありません。民法では「相手方が契約の履行に着手するまで」です(557条1項)。具体的な日付を定める場合は書き足しますが、宅建業者が売主の場合、これより買主に不利な特約は無効です(宅建業法39条2項・3項)。
- 住宅ローン特約:融資が承認されなかった場合に白紙解除できる条項。この書式に欄はないので、金融機関名・融資額・承認期限を支払い方法の欄か余白に書き足します。
- 公租公課の精算:固定資産税・都市計画税を引渡日で日割り精算します。起算日(1月1日か4月1日か)を明記します。欄はないので余白に書き足します。
書き方の注意点
- 手付の性質:解約手付が原則です。買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を現実に提供して解除できます。ただし相手方が履行に着手した後は解除できません(民法557条)。
- 住宅ローン特約は必ず入れる:特約がないと、融資が下りなくても代金を支払う義務は残り、払えなければ違約金などを請求されるおそれがあります。承認期限を、実際の審査期間より余裕を持って設定します。
- 収入印紙の軽減措置:不動産の譲渡に関する契約書は第1号の1文書です。租税特別措置法による軽減措置があり、2014年(平成26年)4月1日から2027年(令和9年)3月31日までに作成されたものは税額が引き下げられています(契約金額1,000万円超5,000万円以下なら本則2万円→軽減1万円など)。
- 契約不適合責任の特約:個人間売買では「現状有姿」「責任を負わない」とする特約も可能ですが、売主が知りながら告げなかった事実については免責されません(民法572条)。宅建業者が売主の場合(買主が宅建業者のときを除く)は、通知の期間を引渡しから2年以上とする特約を除き、民法の規定より買主に不利な特約は無効です(宅建業法40条)。
- 重要事項説明が先:宅建業者が関与する場合、契約が成立するまでの間に重要事項説明書の交付と説明が必要です(宅建業法35条)。契約後の交付では、この義務を果たせません。
よくある質問
Q. 手付金はいつまでに払えば解除できなくなりますか?
A. 手付解除ができるのは、相手方が契約の履行に着手するまでです(民法557条1項)。契約書で期限を定めることもありますが、宅建業者が売主の場合、これより買主に不利な特約は無効です(宅建業法39条3項)。
Q. 収入印紙は誰が貼りますか?
A. 課税文書の作成者が納める義務を負います(印紙税法3条1項)。売主と買主が共同で作成した契約書は、両者が連帯して納める義務を負うため(同条2項)、どちらがどの分を負担するかを決めておきます。
Q. ローンが下りなかったら手付金は戻りますか?
A. 住宅ローン特約で、融資が承認されない場合に契約を解除でき手付金を返還すると定めていれば、返還されます。承認期限などの条件を確かめてください。特約がないと、違約金を請求されるおそれがあります。
参考(2026年10月時点):民法(e-Gov法令検索)、宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)、印紙税法(e-Gov法令検索)、国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置、国税庁 No.6201 非課税となる取引