誓約書の書き方
誓約書は、一方の当事者が相手に対して「これを守ります」と約束する書面です。双方が義務を負う契約書と違い、誓約書は差し入れる側の一方的な意思表示。入社時の服務規律の遵守、退職時の秘密保持、事故の再発防止など、幅広く使われます。ただし署名すれば何でも有効になるわけではなく、内容が過度に不利益なものは無効とされることがあります。
誓約書の書き方 5ステップ
- 日付と、誓約書を差し入れる相手(宛先)を書く
- 誓約する事項を条項ごとに具体的に書く
- 違反した場合の扱いを書く(必要な場合)
- 誓約者の住所・氏名を書いて署名押印する
- 出力して相手に提出し、控えを保管する
記入項目の書き方
- 提出先(会社名 / 団体名・代表者名):誰に対する誓約かを書きます。例の「山田 太郎 殿」のように敬称も付けます。
- 誓約事項:「就業規則を遵守します」だけでなく、とくに守ってほしい事項は一つずつ書きます。秘密保持なら、何が秘密の情報かと、いつまで守るか(例: 退職後◯年間)を書きます。
- 日付・氏名・住所:誓約者が書きます。氏名は自分で書いてもらいます。
書き方の注意点
- 同意書・契約書との違い:誓約書=一方が守ると約束する/同意書=相手の行為を認める/契約書=双方が義務を負う。求められている書類がどれかを確かめます。
- 退職後の競業避止には限りがある:経済産業省がまとめた裁判例の整理では、①守るべき企業の利益があるか ②従業員の地位 ③地域の限定 ④期間 ⑤禁止する行為の範囲 ⑥代償の措置、を見て有効かが判断されています。広すぎる制限は、公序良俗に反するとして無効とされた例があります。
- 身元保証には期限がある:期間を定めない身元保証は3年(商工業の見習いの人は5年)で、定める時も5年を超えられません。更新もできますが、更新の時から5年までです(身元保証ニ関スル法律1条・2条)。個人が保証人になる根保証に当たる身元保証は、上限の額(極度額)を書面で定めないと効力を生じません(民法465条の2)。
- 違約金・損害賠償の予定は禁止:使用者は、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償の額をあらかじめ決めたりする契約をしてはいけません(労働基準法16条)。「退職したら◯万円払う」という誓約は、この禁止に当たります。
- 署名を急がせない:内容を説明せずに署名させると、後から錯誤(民法95条)や強迫(96条)を理由に取消しを主張される余地が生まれます。読む時間を取ってもらいます。
よくある質問
Q. 誓約書に署名したら必ず守らなければいけませんか?
A. 有効な範囲では守る約束になります。ただし、法令に反する内容や、公の秩序に反する内容は無効です(民法90条)。
Q. 入社時に誓約書の提出を拒めますか?
A. 会社から求められることはあります。内容に違法な所や不当な所があれば、直してもらうよう申し出ます。
Q. 退職時の秘密保持誓約は有効ですか?
A. 秘密の範囲と期間を絞ったものなら、守る約束として扱われやすくなります。「業務上知り得た一切の情報を永久に」のような無限定なものは、争いになった時に認められにくくなります。
参考(2026年11月時点):労働基準法(e-Gov法令検索)・身元保証ニ関スル法律(e-Gov法令検索)・民法(e-Gov法令検索)・参考資料5 競業避止義務契約の有効性について(経済産業省)