注文請書の書き方
注文請書(ちゅうもんうけしょ)は、受注側が「注文をお受けしました」と発注側へ返す書面です。注文書が申込み、注文請書が承諾にあたり、申込みに対して相手方が承諾をしたときに契約が成立します(民法522条)。契約書を1通作る代わりに、注文書と注文請書のやり取りで契約の内容を書面に残す方法もあります。
注文請書の書き方 5ステップ
- 請書番号と発行日を書く
- 対応する発注書の番号を書く
- 注文者(会社名・氏名、担当者名)と、受注した内容・数量・単価・金額を書く
- 消費税率を選んで合計金額を確かめ、納品予定日と備考・納品条件を書く
- 発行者情報(自社名・登録番号・住所・連絡先)を記して、発注者へ返送する
記入項目の書き方
- 発注書番号:どの注文に対する請書かを特定します。ここが抜けると照合できません。
- 受注内容:注文書の内容をそのまま写します。条件を付けたり変更を加えたりして承諾すると、申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされます(民法528条)。
- 納品予定日:注文書の希望納期と異なる場合は、その旨を明示して相手の承諾を得ます。
- 金額:小計・消費税額・合計金額を分けて書きます。消費税の課税事業者が消費税額を区分して書いていれば、印紙税の記載金額に消費税額は含めません(免税事業者は含めます)。
- 備考・納品条件:納品場所や支払条件を書きます。注文書に記載があればそれに合わせ、相違があれば事前に調整します。
書き方の注意点
- 収入印紙が必要になる場合:注文請書の内容が請負(仕事の完成を約し、その結果に報酬を支払う契約。民法632条)にあたる場合、第2号文書(請負に関する契約書)として課税されます(記載金額1万円未満は非課税、1万円以上100万円以下は200円、100万円超200万円以下は400円など)。建設工事の請負契約書のうち、契約書に記載された契約金額が100万円を超えるものには、令和9年3月31日までに作成されたものについて税率の軽減措置があります。物品の売買についての注文請書は、印紙税額一覧表の区分に当たらないため、通常は課税されません(継続的取引の基本となる契約書に当たる場合などを除きます)。
- 消費税額を区分して書く:第1号・第2号・第17号文書では、消費税の課税事業者が作成する場合に、消費税額等が区分して記載されているか、税込金額と税抜金額が両方記載されていれば、税抜金額が記載金額になります。税込金額だけの表記より印紙税額が低くなることがあります。
- 内容を変えたら承諾にならない:変更を加えた承諾は、申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされます(民法528条)。納期や数量を変えて返した場合は、相手がそれを承諾するまで契約は成立しません。
- 取適法の発注内容の明示:取適法(2026年1月1日に下請法から改正・改称)の対象取引では、委託事業者(発注者)は発注のときに、給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法などを書面または電磁的方法で明示する義務があります。注文書がその役割を果たすため、記載漏れがないか確認します。
- 電子メールで送る場合:国税庁の質疑応答事例では、書面の注文請書に代えて電子署名を付した電磁的記録を電子メールで送信したケースについて、電磁的記録は文書に含まれないため印紙税は課税されないとしています(照会の事実関係を前提とした回答です)。
よくある質問
Q. 注文請書を出さないと契約は成立しませんか?
A. 承諾の意思表示があれば成立します。契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成などの方式は必要ありません(民法522条2項)。後で内容を確かめられるよう、書面やメールで残しておくと安心です。
Q. 注文書と注文請書があれば契約書は不要ですか?
A. 取引の都度の契約としては足ります。ただし秘密保持や損害賠償などの一般条項を定めるには、別に基本契約書を作っておくと取決めを残せます。
Q. 収入印紙は受注側と発注側どちらが貼りますか?
A. 課税文書の作成者です(印紙税法3条)。注文請書は受注側が作成するため、受注側が印紙を貼り、文書と印紙の彩紋にかけて消印します(印紙税法8条)。
参考(2026年10月時点):e-Gov法令検索 民法(第522条・第528条・第632条)/国税庁 No.7102 請負に関する契約書/国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置/国税庁 No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額/国税庁 印紙税額一覧表/国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」/e-Gov法令検索 印紙税法(第3条・第8条)/e-Gov法令検索 取適法