採用通知書の書き方
採用通知書は、選考に通った応募者へ採用を伝える書面です。軽い連絡に見えますが、最高裁は、応募を労働契約の申込み、採用内定の通知をその承諾とし、誓約書の提出とあいまって解約権を留保した就労始期付の労働契約が成立すると判断しています(大日本印刷事件)。つまり内定の時点で既に労働契約は成立しており、会社側から取り消せる場合は限られています(下の「書き方の注意点」)。
採用通知書の書き方 5ステップ
- 発行日と、応募者の氏名を書く
- 職種・配属先・入社予定日・給与(月額)を書く
- 回答期限と、入社時提出書類を書く
- 会社名・代表者名を書く
- 問い合わせ先を書き添えて出力・送付する(問い合わせ先の欄は無いので、余白か送付状に書く)
記入項目の書き方
- 入社予定日:ここが就労の始期になります。変えたい時は、本人と話し合い、合意のうえで変えます(労働条件の変更は合意による。労働契約法8条)。
- 職種・配属先:確定していなければ「予定」と明記します。断定して後から変えると信頼を損ねます。
- 給与(月額):概要を書き、詳しい労働条件は労働条件通知書で示します。
- 回答期限:他社の選考状況もあるため、1〜2週間程度の余裕を持たせます。
- 入社時提出書類:誓約書、身元保証書、資格証明、口座情報など。戸籍謄本や本籍地の提出は求めないのが原則です。
書き方の注意点
- 内定は労働契約の成立:応募が労働契約の申込み、採用内定の通知がその承諾にあたり、誓約書の提出とあいまって、解約権を留保した就労始期付の労働契約が成立するとされています(最高裁 大日本印刷事件)。会社が自由に撤回できるものではありません。
- 取消しが認められる範囲:内定当時に知り得なかった事実で、解約権の留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的で社会通念上相当と認められる場合に限られます。
- 労働条件通知書は別に必要:採用通知書とは別に、労働基準法15条による労働条件の明示(書面の交付)が必要です。
- 聞いてはいけないこと:本籍・出生地、家族の職業や収入、思想信条、宗教などは、就職差別につながるおそれがある事項として、厚生労働省が応募書類や面接で把握しないよう求めています。提出書類にも含めません。
- 不採用者への配慮:応募書類は返却するか、責任をもって廃棄します。個人情報を利用目的の範囲外で使い回さないようにします。
よくある質問
Q. 採用通知書と内定通知書は違いますか?
A. 実務上ほぼ同義で使われます。新卒採用では「内定通知書」、中途採用では「採用通知書」と呼ぶことが多い程度の差です。
Q. 内定を出した後に取り消せますか?
A. 自由には取り消せません。内定の時には知ることができず、知ることも期待できなかった事実があり、それを理由に取り消すことが客観的に合理的で社会通念上相当と認められる場合に限られます(最高裁 大日本印刷事件)。
Q. 応募者から内定を辞退されたらどうなりますか?
A. 期間の定めのない雇用では、労働者は2週間前の申入れで契約を解約できます(民法627条)。辞退を拒むことはできません。
参考(2026年10月時点):裁判例「採用内定の取消」(厚生労働省 確かめよう労働条件)・労働基準法(e-Gov法令検索)・労働契約法(e-Gov法令検索)・民法(e-Gov法令検索)・公正な採用選考の基本(厚生労働省)