棚卸表の書き方
棚卸表は、決算日時点の在庫を実際に数えて記録する書類です。在庫は売上原価の計算に直結し、期末在庫が多いほど原価が減って利益が増えます。つまり棚卸をいい加減にすると、利益も納税額もずれます。だから実際に数えた記録を残します。
棚卸表の書き方 5ステップ
- 棚卸日と、数える場所(店舗・倉庫名)を決める(決算日が原則)
- 場所ごとに、品目と数量を数えて書く
- 単位を選び、単価を入れる(金額と合計は自動で出る)
- 帳簿上の在庫と突き合わせ、差があれば原因を調べる
- 合計を確かめて、売上原価の計算に使う
記入項目の書き方
- 棚卸日・店舗・倉庫名:数えた日と場所。場所ごとに1枚にすると、数え漏れを見つけやすくなります。
- 品目:同じ品でもサイズや規格が違えば別の行にします。単価の違うものをまとめると金額が狂います。
- 数量・単位:実際に数えた数。単位は「個」などから選べます。kgやケースで数える品は、品目の欄に「豚ロース(kg)」のように書き添えます。
- 単価:選んだ評価方法で出した1単位の値段。金額(数量×単価)と合計は自動で出ます。
- 備考:破損品・期限切れ品・長く売れ残っている品はここに書きます。評価損を考える時の材料になります。
- 発行者情報:会社名か屋号と、棚卸の責任者の氏名を書きます。
書き方の注意点
- 売上原価の式:期首商品棚卸高+当期仕入高−期末商品棚卸高=売上原価。期末在庫を多く計上すると原価が減り利益が増えます。恣意的な操作は認められません。
- 評価方法:個別法・先入先出法・総平均法・移動平均法・最終仕入原価法・売価還元法などから選んで、税務署に届け出ます。届け出なければ最終仕入原価法で評価します(所得税法施行令102条・法人税法施行令31条)。変える時は、税務署長の承認が要ります(所得税法施行令101条・法人税法施行令30条)。
- 未着品と預け在庫:期末時点で自社に所有権がある在庫はすべて対象です。輸送中の商品や、外部倉庫・委託先にある在庫も含めます。
- 評価損は限られた場合だけ:法人の場合、棚卸資産の評価損を損金にできるのは、災害で著しく傷んだ・著しく陳腐化したなどの事実がある時です(法人税法施行令68条)。売れ残っているというだけでは、これに当たるとは限りません。根拠の資料を残します。
- 記録の保存:棚卸表の保存期間は、法人が原則7年(国税庁 No.5930)、個人事業主は青色申告なら原則7年(No.2070)、白色申告なら5年です(No.2080)。数えた時のメモも一緒に残します。
よくある質問
Q. 棚卸は決算日にしかできませんか?
A. 原則は決算日です。実務上、前後の日に実施して受払を調整する方法もありますが、調整の記録を残す必要があります。
Q. 帳簿と実際の数が合わない場合はどうしますか?
A. 実際に数えた数が正です。差異は棚卸減耗損として処理し、原因(記録漏れ、破損、紛失)を調べて再発を防ぎます。
Q. 在庫を持たない業種でも棚卸表は必要ですか?
A. 仕掛品がある業種(受注制作など)は必要です。まったく在庫も仕掛品もなければ不要です。
参考(2026年11月時点):所得税法施行令(e-Gov法令検索)・法人税法施行令(e-Gov法令検索)・No.5930 帳簿書類等の保存期間(国税庁)・No.2070 青色申告制度(国税庁)・No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度(国税庁)