エンディングノートの書き方
エンディングノートは、自分にもしものことがあったときに備えて、必要な情報や希望を書き残しておくノートです。遺言書と決定的に違うのは、遺言の方式(民法960条・968条)を満たさないので遺言としての法的な効力がないこと。財産の分け方を書いても、そのとおりに相続されるとは限りません。その代わり形式が自由で、遺言書には書けない「気持ち」や「手続きに必要な情報」を残せるのが最大の価値です。
エンディングノートの書き方 5ステップ
- 氏名・生年月日・現住所・血液型を書く
- 持病・服用薬と、延命治療の希望を書く
- 葬儀の希望とお墓を書く
- 金融機関と緊急連絡先を書く
- 保険・負債・契約中のサービスなど欄の無いものは別紙にまとめ、保管場所を家族に伝える
記入項目の書き方
- 持病・服用薬:例の「高血圧(降圧剤: ○○錠 毎朝1錠)/かかりつけ医: △△クリニック」のように、薬の名前と飲み方、かかりつけ医を書きます。
- 延命治療の希望:延命治療、病名の告知、介護を受けたい場所など。判断できなくなった時に、家族が迷わずに済みます。
- 葬儀の希望・お墓:宗派、規模、菩提寺や葬儀社の連絡先、遺影に使ってほしい写真、お墓の場所。
- 金融機関:金融機関名・支店名・口座の種類。残高や暗証番号は書きません(なくした時の危険が大きすぎます)。
- 緊急連絡先:続柄・氏名・電話番号を書きます。
- 欄の無いもの:保険(会社・証券番号)、負債(住宅ローン・カードローン・保証)、契約中のサービス(携帯・通信・サブスクリプション・公共料金)、利用しているネットのサービスの一覧は、別紙にまとめます。パスワードは書かず、管理の方法がどこにあるかだけ伝えます。
書き方の注意点
- 遺言としての効力はない:エンディングノートは遺言書ではありません。相続分の指定や遺贈をしたいなら、別に、民法の方式を満たした遺言書を作ります(自筆証書遺言なら全文・日付・氏名の自書と押印・968条)。
- 遺言書と役割を分ける:財産の分け方=遺言書/手続きに要る情報と気持ち=エンディングノート。両方あると、家族は迷わず動けます。
- 暗証番号やパスワードは書かない:ノートをなくしたり盗まれたりした時の被害が大きくなります。口座があることだけを伝え、認証の情報は別の安全な方法で管理します。
- 保管場所を伝える:書いただけで場所を伝えていないと、見つけてもらえません。信頼できる家族に伝えておきます。
- 年に1回は見直す:口座、契約、連絡先は変わります。誕生日など決まった時期に見直すと古くなりません。
- 負債と保証を必ず書く:相続を放棄するかどうかは、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に決めるのが原則です(家庭裁判所で延ばしてもらうこともできる・民法915条1項)。負債があると分からないまま期限を過ぎると、家族が負債を引き継ぐことになります。
よくある質問
Q. エンディングノートに書けば遺言になりますか?
A. なりません。遺言は民法の方式に従わないとできず(960条)、自筆証書遺言なら全文・日付・氏名の自書と押印が要ります(968条1項)。このテンプレートで印刷したノートは活字なので、遺言としての効力はありません。
Q. 何歳から書くべきですか?
A. 年齢は関係ありません。入院や事故は誰にでも起こり得ます。書ける項目から埋めていけば十分です。
Q. 市販のノートと自作のどちらがよいですか?
A. 項目が用意されている市販品は書きやすく、自作は自由度が高くなります。書き続けられる形を選んでください。
参考(2026年11月時点):民法(e-Gov法令検索)