減価償却資産台帳の書き方
減価償却資産台帳(固定資産台帳)は、事業で使う減価償却資産を1件ずつ記録し、毎年いくらを必要経費(償却費)にしたかと、残りの帳簿価額を管理する帳簿です。取得価額・取得日・耐用年数・償却方法がそろうと、その年の償却費を計算できます。
減価償却資産台帳の書き方 5ステップ
- 対象年度を書き、資産ごとに資産名と取得日を書く
- 取得価額を書く(購入代金に、引取運賃・運送保険料・購入手数料などと、業務に使うための費用を含める)
- 耐用年数省令の別表で法定耐用年数を調べて書く
- 償却方法(定額法・定率法)を選び、その年の償却費を計算して本年償却額に書く
- 取得価額から償却費の累計を引いた期末簿価を書く
記入項目の書き方
- 取得日:資産を取得した日を書きます。年の中途で取得した資産の償却費は、1年分の金額を12で割り、その年に業務に使用していた月数を掛けて計算します。
- 取得価額:購入した資産は、「資産の購入代金(引取運賃、運送保険料、購入手数料等を含む)」と「業務の用に供するための費用」の合計額です。10万円未満などに当たるかを判定する時に消費税の額を含めるかどうかは、経理方式によります(税込経理なら消費税を含んだ金額、税抜経理なら含まない金額で判定。免税事業者は税込経理)。
- 耐用年数:耐用年数省令の別表で決まっています(例:パソコン〈サーバー用を除く〉4年、総排気量0.66リットル以下の小型車4年、それ以外の乗用車6年〈運送事業用・報道通信用などを除く〉、木造の事務所用建物24年)。
- 償却方法:個人事業主が償却方法の届出をしていない場合は、法定の償却方法(一般的には定額法)で計算します。平成10年4月1日以後に取得した建物は定額法(または旧定額法)のみ、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備・構築物は定額法です。
- 期末簿価:取得価額から償却費の累計を引いた額です。平成19年4月1日以後に取得した有形の減価償却資産は、取得価額から1円を引いた金額まで償却します(帳簿に1円が残ります)。
書き方の注意点
- 10万円未満は一度に経費:使用可能期間が1年未満のもの、または取得価額が10万円未満のものは、取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費にします。
- 一括償却資産(10万円以上20万円未満):一定の要件の下で一括し、取得価額の合計額の3分の1ずつを、業務の用に供した年以後3年間の必要経費にできます。この扱いを受けた資産は、固定資産税の償却資産の対象から除かれます(地方税法施行令49条)。
- 少額減価償却資産の特例:一定の要件を満たす青色申告者は、取得価額10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までに取得したものは30万円未満)の資産を、合計300万円に達するまで業務の用に供した年分の必要経費にできます。対象は令和11年3月31日までに取得したものです。
- 中古資産の耐用年数:使用可能期間を見積もるのが困難な場合、法定耐用年数の全部を経過した資産は「法定耐用年数×20%」、一部を経過した資産は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で耐用年数を出せます(2年未満になるときは2年)。
- 事業使用割合:自宅兼事務所の家屋や私用と兼ねる車などは、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分だけが必要経費になります。このテンプレートには事業使用割合の欄がないため、按分した場合はその結果を本年償却額に書き、按分の根拠を別に記録しておきます。
- 償却資産の申告:固定資産税の償却資産は、毎年1月1日現在の資産を1月31日までに、所在地の市町村に申告します(地方税法383条)。課税標準となる額の合計が150万円未満の場合は、原則として固定資産税は課されません(地方税法351条。条例で例外あり)。
よくある質問
Q. 個人事業主は定率法を使えますか?
A. 使えます(建物など定額法に限られる資産を除きます)。届出がなければ法定の償却方法(一般的には定額法)になるため、定率法を選ぶには「所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書」を提出します。新たに業務を開始した場合の期限は、その年分の確定申告期限です。
Q. 年の途中で買った資産はどう計算しますか?
A. 1年分の償却費を12で割り、その年に業務に使用していた月数を掛けて計算します。たとえば10月に買って使い始めた資産は、その年は3か月分です。
Q. 台帳は何年保存すればよいですか?
A. 帳簿書類として、青色申告の個人事業主は原則7年(書類によっては5年)、法人は原則7年(青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度などは10年)の保存が必要です。
参考(2026年10月時点):国税庁 No.2100 減価償却のあらまし/国税庁 No.2106 定額法と定率法による減価償却/国税庁「所得税の減価償却資産の償却方法の届出手続」/e-Gov法令検索 減価償却資産の耐用年数等に関する省令/国税庁 No.2210 必要経費の知識/国税庁 No.2070 青色申告制度/国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間/e-Gov法令検索 地方税法(第351条・第383条)/e-Gov法令検索 地方税法施行令(第49条)