損害賠償請求書の書き方
損害賠償請求書は、相手の契約違反や不法行為によって生じた損害の賠償を求める書類です。請求が通るかどうかは、①相手の行為 ②損害の発生 ③その間の因果関係 ④損害額の根拠をどれだけ具体的に示せるかで決まります。感情ではなく、金額を裏づける資料が主役になる書類です。
損害賠償請求書の書き方 5ステップ
- 請求先と請求者を書く(住所と作成日を入れる欄は無いので、要るなら書き添える)
- いつ・どこで・相手が何をしたのかを、事実として時系列で「損害の原因・経緯」に書く
- 生じた損害を項目ごとに分けて金額を出し、合計を請求金額にする
- 支払い期限を入れる(振込先は損害の内容の欄などに書き添える)
- 期限内に払われない時の対応を決めておき、内容証明郵便で送る
記入項目の書き方
- 請求先・請求者:会社なら登記や契約書のとおりの名前で書きます。例の「株式会社サンプル 御中」のように敬称も付けます。
- 損害の原因・経緯:「2026年3月15日、貴社従業員の過失により……」と、争いのない事実から積み上げます。
- 損害の内容:例の「車両修理費 300,000円/代車費用 50,000円」のように、修理費・代わりの物の費用・休業の損害・治療費・慰謝料などを項目ごとに金額で書き、見積書や領収書などの資料と対応させます。
- 請求金額:内訳の合計です。遅延損害金も求めるなら、起算日と利率を書き添えます。
- 支払い期限:日付で書きます。振込先も書いておくと、相手がすぐ払えます。
書き方の注意点
- 消滅時効:契約違反(債務不履行)による請求は、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年で時効になります(民法166条・人の生命や身体の侵害は20年・167条)。不法行為による請求は、損害と加害者を知った時から3年(人の生命や身体を害したものは5年)、不法行為の時から20年です(724条・724条の2)。期限が近いなら急ぎます。
- 催告で6か月止まる:請求書を送る(催告)と、その時から6か月は時効が完成しません(民法150条1項)。その間にもう一度催告しても、さらに延びはしません(150条2項)。その間に訴えなどの手続をとります(147条)。
- 遅延損害金:契約で利率を決めていなければ、法定利率によります。法定利率は年3%で、3年ごとに見直され、2026年4月1日から2029年3月31日までも3%のままです(民法404条・法務省)。
- 証拠を先に固める:写真、修理の見積り、診断書、通院の記録、やり取りのメールなど、金額を裏づける資料を先に集めます。請求書に「別紙のとおり」と付けると、説得力が変わります。
- 過失相殺:自分の側にも落ち度があると、裁判所はそれを考えて賠償の額を決めます(民法418条・722条2項)。争いになれば、額が調整されることを見込んでおきます。
よくある質問
Q. 慰謝料はいくら請求できますか?
A. 事案によります。交通事故は算定基準がありますが、それ以外は個別判断です。根拠なく高額を書くと交渉が長引くため、実損を中心に組み立てるのが現実的です。
Q. 内容証明で送る必要がありますか?
A. 法律で決まった送り方はありません。内容証明は、いつ、どんな内容の文書を、誰から誰あてに出したかを日本郵便が証明するもので(文書の中身が真実かどうかの証明ではない)、配達証明を付けると届いたことも残ります。時効が迫っている時や、訴えを見すえる時に向いています。
Q. 相手が支払わない場合はどうなりますか?
A. 支払督促、少額訴訟、通常の訴訟などの手続に進みます。60万円以下のお金の支払いを求めるなら、簡易裁判所の少額訴訟が使えます(民事訴訟法368条・同じ裁判所で年に使える回数に限りがある)。
参考(2026年11月時点):民法(e-Gov法令検索)・令和8年4月1日以降の法定利率について(法務省)・民事訴訟法(e-Gov法令検索)・内容証明(日本郵便)