工事見積依頼書の書き方
工事見積依頼書は、施工業者に見積りを依頼するための書面です。建設業法20条3項は、注文者に、契約や入札の前に工事の内容などをできる限り具体的に示し、見積りに必要な期間を置く義務を課しています。短い期間で見積りを迫ることは、この義務に反します。また、業者が正確な見積りを出せるかは依頼側が条件を揃えて渡せているかで決まります。条件が曖昧なまま複数社に投げると、比較できない見積りが並びます。
工事見積依頼書の書き方 5ステップ
- 工事名称・工事場所・工事内容を書く(図面・仕様書を添える)
- 見積回答期限を、法令の見積期間を満たす日にする
- 着工希望時期を書く
- 備考・条件に、含めるもの・含めないもの、内訳の細かさ、現地確認の日程と質問の窓口を書く
- 同じ条件で、各社に送る
記入項目の書き方
- 工事内容:例の「外壁高圧洗浄、下地処理、シリコン塗装2回塗り」のように、範囲と仕様を具体的に。含めるもの・含めないものがあいまいだと、各社の前提がばらばらになり比べられません。
- 見積回答期限:法令の見積期間を満たす日付にします(下の注意点)。
- 着工希望時期:例の「2026年5月上旬」のように。完成の希望や動かせない期限があれば、備考に書きます。
- 備考・条件:例の「足場代は別途計上してください」のような扱いの指定、内訳の細かさ(「工種ごとに材料費・労務費を分けて」など)、現地確認の日程と立会いの要否を書きます。
書き方の注意点
- 依頼する側が守る期間:見積期間を置く義務を負うのは注文者です(建設業法20条3項)。工事1件の予定価格が500万円未満なら1日以上、500万円以上5,000万円未満なら10日以上、5,000万円以上なら15日以上です。やむを得ない事情がある時は、10日以上・15日以上の期間を5日以内に限り短くできます(建設業法施行令5条の9)。
- 注文者が示す事項:工事の内容や、工事着手と完成の時期など、請負契約の書面に書く事項(請負代金の額を除く)を、できる限り具体的に示します(建設業法20条3項・19条1項)。
- 材料費等を書いた見積書:建設業者は、契約の際に、工事の種別ごとの材料費・労務費などを明らかにした見積書を作るよう努め、注文者はその内容を考慮するよう努めます(建設業法20条1項・4項)。内訳の細かさを指定しておくと、比べやすくなります。
- 条件をそろえて渡す:同じ図面・同じ範囲・同じ工期で頼まないと、金額を比べる意味がありません。安く見えた見積りが「含んでいないだけ」ということが起こります。
- 質問の窓口を一つに:各社からの質問と回答は、全社に共有します。
よくある質問
Q. 何社に見積りを依頼するのが適当ですか?
A. 決まりはありません。多すぎると各社の見積りの精度が下がり、比べる手間も増えるので、条件をそろえて比べられる数に絞ります。
Q. 見積期間を短くしてもらえますか?
A. 見積期間は法令で決まっているので、注文者の都合だけで短くはできません。やむを得ない事情がある時に限り、10日以上・15日以上の期間を5日以内で短くできます(建設業法施行令5条の9)。急ぐ時は、依頼の時期を早めます。
Q. 見積りが高い会社に理由を聞いてもよいですか?
A. 問題ありません。内訳を比べると、含んでいる範囲や仕様の違いが見つかることがよくあります。
参考(2026年11月時点):建設業法(e-Gov法令検索)・建設業法施行令(e-Gov法令検索)