クレーム対応記録の書き方
クレーム対応記録は、お客様からの苦情の内容と対応の経過を残す書類です。目的は3つ——担当者が代わっても対応を引き継げること、同じ苦情の再発を防ぐこと、後から事実関係を示せること。特に金銭や健康被害が絡む場合、この記録が大事な資料になります。感情ではなく事実を、時刻付きで残すのが基本です。
クレーム対応記録の書き方 5ステップ
- 発生日と発生時刻を書く
- お客様名を書く(名乗られなければ匿名でよい)
- 分類を選び、申し出の中身をお客様の言葉に近い形で書く
- その場でした対応と、約束したこと(いつまでに何をするか)を書く
- 原因を調べて再発防止策を書き、対応者を書いて残す
記入項目の書き方
- 発生日・発生時刻:いつ起きたか、申し出を受けたのは何時かを、分まで書きます。折り返しの期限を守る基準になります。
- お客様名:分かれば書きます。名乗られなければ「匿名」で構いません。連絡先を聞いた時は詳細の欄に書き、個人情報として扱います。
- 分類:料理・接客・衛生・待ち時間・その他から選びます。分類ごとに件数を数えると、多い苦情が見えます。
- クレーム詳細:要約せず、できるだけお客様の表現のまま。「返金してほしい」「謝ってほしい」など、何を求めているかも書きます。
- 対応内容:その場で伝えたこと・したこと。作り直しや割引など、お金が動いたら金額も書きます。
- 再発防止策:実行できる形で書きます。ここが空欄の記録は次に活きません。
- 対応者:誰が対応したか。引き継ぐ時の確認先になります。
書き方の注意点
- 事実と評価を分ける:「お客様が激怒された」は評価です。「◯時◯分、返金を求める旨を3度述べられた」と書きます。後から読む人が自分で判断できる形にします。
- 約束した期限を書く:「後日ご連絡します」は記録として弱いです。「◯月◯日までに回答」と書き、期限管理に使います。
- 個人情報の扱い:氏名・連絡先・購入履歴が含まれます。保管場所とアクセス権限を決め、利用目的の範囲内で扱ってください。
- 悪質な要求への線引き:要求が過大で執拗な場合は、対応者を替える・複数人で対応する・記録を厳密に残すのが基本です。金銭要求を伴う脅迫的な言動があれば、警察や弁護士への相談も検討します。
- 体調の訴えや異物は保健所へ:異物の混入や異味・異臭など、健康被害につながるおそれが否定できない苦情を受けたら、保健所などへ知らせるよう努めることとされています(食品衛生法施行規則 別表第十七)。医師に、その食品が原因か、その疑いがあると診断された健康被害の情報も同じです。
- 保存期間:法令で決まった保存期間はありません。債権の消滅時効が、権利を行使できると知った時から5年(民法166条)であることなどを踏まえて決めます。
よくある質問
Q. クレーム対応記録に法的な作成義務はありますか?
A. 一般には義務ではありません。ただし分野によっては決まりがあります。たとえば訪問介護などの介護サービスでは、苦情を受け付けたら内容等を記録しなければならないと基準で定められています(指定居宅サービス等の基準36条)。
Q. お客様に記録を見せる必要はありますか?
A. 求められなければ見せる必要はありません。ただし本人から、その人が識別される保有個人データの開示を求められた時は、原則として開示します(個人情報保護法33条)。
Q. 電話でのクレームを録音する時の注意は?
A. 録音するなら、最初に「品質向上のため録音します」などと伝えておくと、後のもめごとを防ぎやすくなります。名前が入るなどして誰か分かる録音は個人情報にあたります(個人情報保護委員会のガイドライン)。保管する場所と使う範囲を決めて扱います。
参考(2026年11月時点):民法(e-Gov法令検索)・個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索)・個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会)・指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)・食品衛生法施行規則(e-Gov法令検索)