介護事故報告書の書き方
介護事故報告書は、サービス提供中に起きた事故を記録し、市町村へ報告するための書類です。運営基準(厚生労働省令)により、サービスの提供で事故が起きたら、市町村・利用者の家族・居宅介護支援事業者などに連絡し、必要な措置を講じ、事故の状況と採った処置を記録します(例: 指定居宅サービス等の基準37条)。書き方の要点は、事実と推測を混ぜないことと、発見時刻を正確に残すことです。
介護事故報告書の書き方 5ステップ
- 事故発生日時・場所・利用者情報を記入する
- 発見時の状況を、時刻とともに事実だけで書く
- 実施した対応(応急処置・受診・家族連絡)を時系列で書く
- 傷病の程度と、受診結果を書く
- 原因の分析と再発防止策を書き、市町村へ報告する
記入項目の書き方
- 発生日時:発見時刻と、推定される発生時刻を分けて書きます。「◯時◯分発見(発生時刻不明)」で構いません。
- 場所:居室・浴室・廊下など。設備の状況(床が濡れていた等)も記録します。
- 発見時の状況:「床に座り込んでいるのを発見」のように、見たままを書きます。「転倒した」は見ていなければ推測です。
- 対応の経過:誰が・何時に・何をしたか。受診の有無、家族への連絡時刻を含めます。
- 傷病の程度:診断名と治療内容。骨折や入院の有無は報告基準に関わります。
- 原因分析:人・環境・利用者の状態の3つの側面から検討します。
- 再発防止策:実行できる具体策を書きます。実施予定日と担当者まで書くと形骸化しません。
書き方の注意点
- 連絡と記録の義務:事故が起きたら、市町村・利用者の家族・居宅介護支援事業者などに連絡し、必要な措置を講じます。事故の状況と採った処置は記録します。賠償すべき事故なら、損害賠償を速やかに行います(指定居宅サービス等の基準37条)。
- 報告の範囲:厚生労働省の通知では、①死亡に至った事故 ②医師(施設の勤務医・配置医を含む)の診断を受けて、投薬・処置など何らかの治療が必要となった事故、は原則として全て報告します。そのほかの事故は、各自治体の取扱いによります(介護保険最新情報 Vol.1332)。
- 記録の保存:事故の状況と採った処置の記録は、完結の日から2年間保存します(指定居宅サービス等の基準39条2項)。今の基準は自治体の条例で定められているので、所在地の条例で保存の年数を確かめます。
- 事実と推測を分ける:見ていないことを見たように書かず、「発見時の状況」と「推測される原因」を分けます。
- ヒヤリ・ハットと区別する:実際に被害が出たものが事故報告書、至らなかったものがヒヤリ・ハット報告書です。両方を集めて分析すると、防止策が的確になります。
よくある質問
Q. どの程度の事故から市町村へ報告が必要ですか?
A. 厚生労働省の通知では、死亡に至った事故と、医師の診断を受けて投薬・処置など何らかの治療が必要となった事故は、原則として全て報告します。そのほかは自治体の取扱いによるので、所在地の市町村に確かめます(介護保険最新情報 Vol.1332)。
Q. 利用者本人の不注意でも報告が必要ですか?
A. 運営基準では、サービスの提供により起きた事故について連絡と記録を求めています(指定居宅サービス等の基準37条)。原因が誰にあるかと、報告するかどうかは別に考えます。
Q. 報告書を家族に見せる必要はありますか?
A. 事故が起きたら家族に連絡します(同基準37条)。報告書を説明の資料として示す時は、ほかの利用者の情報が含まれないよう気を付けます。
参考(2026年11月時点):指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)・介護保険最新情報 Vol.1332 介護保険施設等における事故の報告様式等(厚生労働省 令和6年11月)