取引基本契約書の書き方
取引基本契約書は、継続的に取引する相手と、毎回同じことを決め直さなくて済むように共通のルールを定める契約書です。個々の注文は注文書と注文請書で行い、支払条件・検収・秘密保持・解除などの一般条項は基本契約でまとめて定めます。要は共通部分を上に、都度の内容を下にという二層構造をつくる書類です。
取引基本契約書の書き方 5ステップ
- 甲と乙を書く(会社名と代表者名)
- 取引の目的・範囲を書く(何の取引を続けるか)
- 契約日と契約期間(自動更新の有無)を書く
- 支払条件と納品条件を書く
- 個別契約の成立・優先関係・検収・契約不適合・解除の取り決めが要るなら別に書面で定め、署名押印する
記入項目の書き方
- 甲・乙:会社名と代表者名を書きます。
- 取引の目的・範囲:例の「甲が製造する製品の継続的売買取引」のように、何の取引を続けるのかを書きます。
- 契約日・契約期間:例の「1年間(自動更新)」のように書きます。自動更新なら、更新しない時の申出の期限も決めておきます。
- 支払条件:締日と支払日(「月末締め翌月末払い」など)を書きます。
- 納品条件:納める場所・方法・時期を書きます。注文ごとに決めるなら、例のように「個別契約に定める」とします。
- この書式に欄が無い取り決め:個別契約の成立(注文書と注文請書のやり取り)、基本契約と個別契約が食い違った時にどちらを優先するか、検収の期間、契約不適合の扱い、催告なしで解除できる事由などは、要る時は別に書面で定めます。
書き方の注意点
- この書式に入っている条文:印刷すると、入力した項目のあとに「反社会的勢力の排除」「協議解決」「合意管轄(被告の住所地の裁判所)」の3つの条文が入ります。
- 収入印紙は4,000円:営業者の間で売買・請負などを続けて行うための基本の契約書(目的物の種類・単価・支払方法などを定めるもの)は第7号文書で、記載金額にかかわらず1通4,000円です。ただし、契約期間が3か月以内で更新の定めが無いものは除かれます(国税庁 No.7104)。
- 優先関係を書く:個別契約で単価を変えたのに、基本契約の単価が生きていると主張されると、決着に時間がかかります。どちらを優先するかを1行で決めておきます。
- 取適法の適用:2026年1月1日から、下請法は「取適法」(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)に変わりました。対象の取引では、委託事業者は、給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法などを直ちに書面か電子メールなどで明示し(4条)、支払期日を、給付を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で定めます(3条)。対象を決める基準に従業員の数(300人・100人)が加わり、手形払いや、協議に応じない一方的な代金の決定も禁止されました(公正取引委員会)。
- 自動更新の期限:「1年間、期間満了の3か月前までに申出がなければ自動更新」のような取り決めは、期限を過ぎると自動で延びます。期限を予定表に入れておきます。
- 電子契約なら印紙は要らない:印紙税がかかるのは課税物件表に挙がっている文書で、電磁的記録は文書に含まれません。電子データで作って電子メールで送った物には、印紙税はかかりません(国税庁 質疑応答事例)。
よくある質問
Q. 基本契約書がないと取引できませんか?
A. できます。契約は申込みと承諾で成立するので(民法522条)、都度の注文書と注文請書だけでも取引はできます。ただし、秘密保持や責任の範囲が決まらず、問題が起きた時に拠り所がありません。
Q. 収入印紙は必ず4,000円ですか?
A. 第7号文書に当たれば、記載金額にかかわらず1通4,000円です。契約期間が3か月以内で更新の定めが無いものは当たりません。第7号に当たらなくても、中身によって請負の契約書(第2号文書)などに当たることがあります(国税庁 No.7104)。
Q. 基本契約を途中で変更できますか?
A. 双方が合意すれば変えられます。覚書を交わし、原契約を特定して、どの条項をどう変えるかを書いてください。
参考(2026年11月時点):No.7104 継続的取引の基本となる契約書(国税庁)・No.7102 請負に関する契約書(国税庁)・質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」(国税庁)・製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(取適法)(e-Gov法令検索)・2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!(公正取引委員会のリーフレット)・民法(e-Gov法令検索)