代理店契約書の書き方
代理店契約書は、自社の商品やサービスの販売を外部に委ねる契約です。実務でまず整理すべきは「代理店」と「販売店」のどちらか。代理店は契約の媒介や取次ぎをして手数料を得る立場、販売店は自ら商品を買い取って再販する立場で、在庫リスクも顧客との契約当事者も変わります。ここを曖昧にしたまま進めると、責任の所在が定まりません。
代理店契約書の書き方 5ステップ
- 委託者(甲)と代理店(乙)を書く(この書式は「甲の製品の販売代理」の契約として印刷される)
- 対象製品と販売地域を書く
- 手数料率と、何に対する率か(税抜の売上か など)を書く
- 契約期間(自動更新の有無)を書く
- 独占の有無・最低販売数量・報告・支払時期・解約の予告の取り決めが要るなら別に書面で定め、署名押印する
記入項目の書き方
- 委託者(甲)・代理店(乙):会社名を書きます。書類の頭に「甲の製品の販売代理について契約を締結する」と入るので、代理店型(甲が売主で、乙が媒介・取次ぎをして手数料を受け取る)の契約になります。乙が商品を買い取って自分の名で売る販売店型なら、この書式は合いません。
- 販売地域:例の「日本国内」のように、扱ってよい地域を書きます。顧客層で区切るなら、それも書き添えます。
- 対象製品:例の「甲の全製品」か、製品名を並べて範囲を絞ります。
- 手数料率:例の「売上の15%」に加えて、率をかける元(税抜の売上か税込か)と、返品・キャンセルの時の扱いも決めておきます。支払時期を書く欄は無いので、別に定めます。
- 契約期間:例の「1年(自動更新)」のように書きます。更新しない時の申出の期限も決めておきます。
書き方の注意点
- この書式に入っている条文:印刷すると、頭の一文と入力した項目のあとに「反社会的勢力の排除」「協議解決」「合意管轄(被告の住所地の裁判所)」の3つの条文が入ります。独占・最低販売数量・報告・秘密保持・解約の条文は入っていません。
- 販売店に売値を守らせない:自社の商品を買った相手(販売店)に、売値を決めて守らせることは、原則として不公正な取引方法として違法です(独占禁止法2条9項4号・公正取引委員会の指針)。代理店型で、取引が委託者の危険負担と計算で行われ、代理店が単なる取次ぎとして働いている場合は、価格を指示しても通常は違法になりません(同じ指針)。
- 競合品の取扱い制限:市場で有力な事業者が、取引先に競争品を扱わないよう拘束して、競争者の事業活動を妨げるなどの場合は、独占禁止法上の問題になります(公正取引委員会の指針)。
- 解約の予告期間:長く続いた代理店契約を突然打ち切ると、争いになることがあります。相応の予告期間を定めておきます。
- 顧客情報の帰属:代理店が得た顧客の情報が誰のものになるか、契約が終わった後の勧誘をどこまで控えるかを、範囲を絞って定めます。
- 収入印紙:代理店契約書のように、売買に関する業務を続けて委託するため、委託する業務の範囲や対価の支払方法を定める契約書は、第7号文書(1通4,000円)です。契約期間が3か月以内で更新の定めが無いものは除かれます(国税庁 No.7104)。
よくある質問
Q. 代理店と販売店はどちらが有利ですか?
A. 目的で選びます。在庫のリスクを相手に持たせたいなら販売店型です。代理店型で、取引が委託者の危険負担と計算で行われていれば、委託者が価格を指示できます(公正取引委員会の指針)。
Q. 販売価格を指定してはいけませんか?
A. 販売店型では、売値を決めて守らせることは原則として違法です(独占禁止法2条9項4号)。希望小売価格を単なる参考として示すことは問題になりませんが、守らせると原則として違法になります(公正取引委員会の指針)。
Q. 代理店を一方的に解約できますか?
A. 契約に定めた方法なら解約できますが、予告なしの打ち切りは損害の賠償を求められることがあります。予告期間を契約で定めておきます。
参考(2026年11月時点):独占禁止法(e-Gov法令検索)・流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針(公正取引委員会)・No.7104 継続的取引の基本となる契約書(国税庁)