遺言書の書き方
遺言書のうち、自分で書く自筆証書遺言は費用がかからず手軽ですが、方式を1つでも欠くと全部無効になります。要件は民法968条に定められた4つ——全文の自書・日付の自書・氏名の自書・押印。パソコンで打った本文や、「令和7年8月吉日」といった日付は無効です。ここだけは形式が結果を決めます。
遺言書の書き方 5ステップ
- 遺言の内容(誰に何を相続させるか)を整理する
- 本文をすべて手書きで書く(パソコン・代筆は不可)
- 財産目録を添付する場合はパソコンで作成してよい(各ページに署名押印)
- 作成した年月日を正確に自書する
- 氏名を自書して押印し、封筒に入れて保管する(法務局の保管制度も検討)
記入項目の書き方
- 本文:「◯◯(住所・氏名・生年月日)に 次の財産を相続させる」。誰に何をが一意に読めることが重要です。
- 財産の特定:不動産は登記事項証明書のとおり(所在・地番・家屋番号)、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで。
- 日付:「令和◯年◯月◯日」と特定できる形で自書。「吉日」は日付が特定できず無効です。
- 氏名:戸籍どおりの氏名を自書します。
- 押印:実印が望ましいですが、認印でも要件は満たします。
- 遺言執行者:指定しておくと、手続きが円滑になります。相続人の1人でも、専門家でも構いません。
書き方の注意点
- 4要件を欠くと無効:全文の自書・日付の自書・氏名の自書・押印。本文をパソコンで作成すると全体が無効になります。
- 財産目録だけは例外:2019年1月13日施行の改正民法により、相続財産の目録はパソコンで作成したり通帳のコピーを添付したりできるようになりました。ただし目録の各ページに署名押印が必要です。
- 法務局の保管制度:2020年7月から、法務局が自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。紛失・改ざんを防げるうえ、家庭裁判所の検認が不要になります。手数料は1件3,900円です。
- 検認が必要な場合:法務局に預けていない自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所の検認が必要です。封を開けずに提出します(勝手に開封すると過料の対象)。
- 遺留分に注意:配偶者・子・直系尊属には遺留分があり、遺言で全財産を1人に渡しても、他の相続人から遺留分侵害額の請求を受ける可能性があります。
- 訂正の方式が厳格:加除訂正には、変更場所の指示・変更した旨の付記・署名・変更箇所への押印が必要です。方式を誤ると訂正が無効になります。書き直すほうが安全です。
よくある質問
Q. パソコンで書いた遺言書は有効ですか?
A. 自筆証書遺言としては無効です。財産目録のみパソコン作成が認められています。パソコンで作りたい場合は公正証書遺言を検討してください。
Q. 公正証書遺言との違いは何ですか?
A. 公正証書遺言は公証人が作成するため無効になりにくく、検認も不要です。費用と証人2名が必要ですが、確実性は高くなります。
Q. 遺言書は何度でも書き直せますか?
A. できます。日付が新しいものが優先され、内容が抵触する部分は前の遺言が撤回されたものとみなされます。