売買契約書の書き方
売買契約書は、物を売り買いする条件を定める契約書です。2020年4月1日に施行された改正民法では、引き渡した物が種類・品質・数量について契約の内容に合わない時(契約不適合)、買主は損害賠償や解除のほか、修補などの追完や代金の減額を求められると定められました(民法562条〜564条)。あわせて危険負担と所有権の移転時期をどこに置くかで、事故が起きたときの損失の負担者が変わります。
売買契約書の書き方 5ステップ
- 売主(甲)と買主(乙)を書く(会社なら代表者名も)
- 売買対象物を特定する(品名・型番・数量・仕様)
- 売買代金と支払条件(支払う日・方法)を書く
- 引渡日と引渡場所を書く
- 所有権の移転・危険負担・契約不適合の取り決めが要るなら別に書面で定め、契約日を入れて署名押印する
記入項目の書き方
- 売主(甲)・買主(乙):会社名か氏名を書きます。会社なら代表者名の欄も書きます。
- 売買対象物の詳細:品名・型番・製造番号・数量・仕様まで書いて、どの物かを特定します。中古品は、今の状態も書いておきます。
- 売買代金:金額と、消費税を含むか(税込・税別)を書きます。
- 引渡日・引渡場所:いつ・どこで引き渡すかを書きます。運ぶ費用や保険をどちらが持つかを書く欄は無いので、要る時は別に定めます。
- 支払条件:一括か分割か、支払う日、振込手数料をどちらが持つかを書きます。
- 契約日:双方が合意して署名押印する日です。
書き方の注意点
- この書式に入っている条文:印刷すると、入力した項目のあとに「反社会的勢力の排除」「協議解決」「合意管轄(被告の住所地の裁判所)」の3つの条文が入ります。所有権の移転・危険負担・契約不適合責任の取り決めは入っていないので、書かなければ民法の決まりによります。
- 所有権の移転:所有権は、当事者の意思表示だけで移ります(民法176条)。代金の未回収に備えて、「代金を払い終えた時に移る」と決めておくこと(所有権留保)もあります。
- 危険負担:引渡しの後に、双方の責任でない事情で物が滅失・損傷した時は、買主はそれを理由に追完・減額・損害賠償・解除を求められず、代金の支払も拒めません(民法567条)。引渡しの前に、双方の責任でない事情で引き渡せなくなった時は、買主は代金の支払を拒めます(536条)。
- 契約不適合の通知期間:種類・品質が契約の内容に合わない時、買主は、合わないと知った時から1年以内に売主へ知らせないと、追完・減額・損害賠償・解除を求められなくなります(売主が引渡しの時に知っていた、または重大な過失で知らなかった時を除く・民法566条)。商人の間の売買では、買主は受け取ったら遅滞なく検査し、合わないと分かったら直ちに売主へ知らせます。すぐには見つけられない不適合を6か月以内に見つけた時も同じです(商法526条)。
- 収入印紙:物品(動産)の売買の契約書に印紙税がかかったのは平成元年3月までです(国税庁 質疑応答事例)。不動産の売買の契約書は第1号文書、営業者の間で続けて売買をするための基本の契約書は第7号文書(1通4,000円・契約期間が3か月以内で更新の定めが無いものは除く)になります。
- 消費者が相手なら:事業者と消費者の契約で、事業者の債務不履行による損害賠償の責任を全部免除する条項などは無効です(消費者契約法8条)。
よくある質問
Q. 瑕疵担保責任と契約不適合責任は何が違いますか?
A. 改正の前の民法では、修補や代替物の引渡しを求められる場合がはっきりせず、代金の減額も限られた場合にしか認められていませんでした。2020年4月1日からの民法では、引き渡された物が契約の内容に合わない時、買主は損害賠償や解除のほか、修補・代替物の引渡しなどの追完や代金の減額を求められます(民法562条〜564条・法務省)。求めるには、合わないと知った時から1年以内に売主へ知らせます(566条)。
Q. 売買契約書に収入印紙は必要ですか?
A. 物品(動産)の売買の契約書には要りません(物品の譲渡の契約書に印紙税がかかったのは平成元年3月まで・国税庁)。不動産の売買の契約書(第1号文書)や、営業者の間で続けて売買をするための基本の契約書(第7号文書)には要ります。
Q. 口約束の売買も有効ですか?
A. 有効です。売買は、売る約束と代金を払う約束で効力を生じ(民法555条)、契約に書面は要りません(522条2項)。ただし内容や条件で争いになりやすいので、金額が大きい取引は書面にしておきます。
参考(2026年11月時点):民法(e-Gov法令検索)・商法(e-Gov法令検索)・消費者契約法(e-Gov法令検索)・民法の一部を改正する法律(債権法改正)について(法務省)・売買、消費貸借、定型約款などの契約に関するルールの見直し(法務省)・No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで(国税庁)・No.7104 継続的取引の基本となる契約書(国税庁)・質疑応答事例「物品販売の注文請書」(国税庁)