給与明細書の書き方
給与明細書は、給与の内訳を従業員に示す書類です。所得税法231条により、給与を支払う者には交付義務があります(支払明細書の交付)。任意の書類ではありません。従業員にとっては、労働時間が正しく反映されているか、控除が適正かを確認する唯一の手段であり、記載が雑だと未払い残業代の争いの火種になります。
給与明細書の書き方 5ステップ
- 対象期間(賃金計算期間)と支給日を書く
- 勤怠(労働日数、労働時間、時間外・深夜・休日の時間)を書く
- 支給項目(基本給、各種手当、割増賃金)を並べる
- 控除項目(社会保険料、税金、その他)を並べる
- 差引支給額を計算し、給与とあわせて交付する
記入項目の書き方
- 勤怠:労働日数、総労働時間、時間外労働時間、深夜労働時間、休日労働時間。ここが空欄の明細は割増賃金の検算ができません。
- 基本給・手当:役職手当、通勤手当、住宅手当など。固定残業代を含む場合は何時間分でいくらかを明示します。
- 割増賃金:時間外は25%以上(月60時間超の部分は50%以上)、深夜は25%以上、法定休日は35%以上の割増が必要です。
- 社会保険料:健康保険、厚生年金、介護保険(40歳以上)、雇用保険。労使折半のものは本人負担分だけを控除します。
- 税金:所得税(源泉徴収)と住民税(特別徴収)。住民税は前年所得に基づき6月から翌年5月まで徴収します。
- 差引支給額:支給合計−控除合計。実際の振込額と一致していることを必ず確認します。
書き方の注意点
- 交付は法律上の義務:所得税法231条により、給与等の支払をする者は支払明細書を交付しなければなりません。「求められたら渡す」ではなく、支払の都度交付します。
- 電子交付の条件:電磁的方法による交付には従業員の承諾が必要です。承諾を得ずに紙をやめることはできません。また従業員から書面での交付を求められたら応じる必要があります。
- 割増率の注意:月60時間を超える時間外労働の割増率50%以上は、2023年4月から中小企業にも適用されています。
- 保存期間:賃金台帳は労働基準法109条により保存義務があります(改正で5年、当面の経過措置として3年)。給与明細の控えも同様に保管しておくのが安全です。
- 控除できるもの:法定控除(税・社会保険料)以外を控除するには、労使協定が必要です(労働基準法24条の全額払いの原則)。
よくある質問
Q. 給与明細を交付しないと違法ですか?
A. 所得税法231条違反となります。交付は義務であり、従業員の求めの有無にかかわりません。
Q. 紙をやめて電子だけにできますか?
A. 従業員の承諾があれば可能です。承諾していない従業員には紙で交付する必要があります。
Q. アルバイトにも給与明細は必要ですか?
A. 必要です。雇用形態や勤務時間にかかわらず、給与を支払うすべての人に交付します。