支払い同意書の書き方
支払い同意書は、支払うべき金額と支払方法を、支払う側が認めて約束する書面です。実務上とても重要な効果があり、債務の存在を認める(債務の承認)ことで消滅時効が更新され、そこから新たに時効期間が進み直します(民法152条)。回収が長引いている債権では、これを取れるかどうかが分かれ目になります。
支払い同意書の書き方 5ステップ
- 債務者と債権者の氏名・住所を書く
- 支払うべき債務を特定する(発生原因・金額・発生日)
- 支払総額と、分割の場合は回数・各回の額・支払日を書く
- 期限の利益喪失条項を入れる
- 債務者が署名押印し、債権者が保管する
記入項目の書き方
- 債務の特定:「令和◯年◯月◯日付売買契約に基づく代金」のように原因を明示します。これが債務の承認になります。
- 支払総額:元本と遅延損害金を分けて記載します。
- 分割の条件:回数、1回あたりの額、支払日(毎月◯日)、最終回の調整額。
- 振込先:口座情報。振込手数料の負担者も決めます。
- 期限の利益喪失:「1回でも支払いを怠ったときは、通知催告なく残額全額を直ちに支払う」。これがないと毎回1回分ずつしか請求できません。
- 遅延損害金:遅れた場合の利率。定めがなければ法定利率(年3%)です。
書き方の注意点
- 時効が更新される:債務者が債務の存在を認めると時効が更新され、そこから新たに時効期間(原則5年)が進行します(民法152条)。時効が迫っている債権では、支払い同意書を取ることが最も確実な手段のひとつです。
- 期限の利益喪失条項は必須:分割払いでは、これがないと滞納があってもその回の分しか請求できません。1回の不履行で残額全額を請求できる条項を必ず入れます。
- 公正証書にすると強い:強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくと、支払われないときに裁判をせずに給与や預金を差し押さえられます。金額が大きい場合は費用をかける価値があります。
- 連帯保証人を付けるなら極度額:個人が連帯保証人になる場合、根保証なら極度額の定めがないと無効です(民法465条の2)。
- 無理な条件にしない:払えない金額で合意しても回収できません。収入から逆算した現実的な分割額にするほうが、結果的に回収率が上がります。
よくある質問
Q. 支払い同意書と借用書はどう違いますか?
A. 借用書は金銭の貸し借りがあった事実を示すもの、支払い同意書は既にある債務の支払方法を取り決めるものです。既存の未払いには支払い同意書を使います。
Q. 署名を拒まれたらどうしますか?
A. 強制はできません。まず金額の認識をすり合わせ、無理のない分割案を提示します。それでも応じない場合は法的手続を検討します。
Q. 公正証書にする費用はどのくらいですか?
A. 目的の価額に応じた手数料がかかります。100万円以下なら5,000円程度からで、金額が上がるほど高くなります。