採用通知書の書き方
採用通知書は、選考に通った応募者へ採用を伝える書面です。軽い連絡に見えますが、応募者が承諾すると「始期付解約権留保付労働契約」が成立すると解されています。つまり内定の時点で既に労働契約は成立しており、会社側からの取消しは解雇に準じて扱われるため、安易な内定取消しは認められません。
採用通知書の書き方 5ステップ
- 通知日と、応募者の氏名を書く
- 採用の決定を伝える
- 入社予定日と、配属予定・職種を書く
- 承諾書の提出期限と、提出書類を案内する
- 問い合わせ先を書いて出力・送付する
記入項目の書き方
- 入社予定日:ここが労働契約の始期になります。変更する場合は本人の同意が必要です。
- 職種・配属:確定していなければ「予定」と明記します。断定して後から変えると信頼を損ねます。
- 提出書類:誓約書、身元保証書、資格証明、口座情報など。戸籍謄本や本籍地の提出は求めないのが原則です。
- 承諾書の期限:他社の選考状況もあるため、1〜2週間程度の余裕を持たせます。
- 労働条件:詳細は労働条件通知書で別途示します。通知書の段階では概要にとどめても構いません。
書き方の注意点
- 内定は労働契約の成立:採用内定の通知と応募者の承諾により、始期付解約権留保付労働契約が成立するとされています(最高裁 大日本印刷事件)。会社が自由に撤回できるものではありません。
- 取消しが認められる範囲:内定当時に知り得なかった事実で、解約権の留保の趣旨・目的に照らして客観的に合理的で社会通念上相当と認められる場合に限られます。業績悪化を理由とする取消しは整理解雇の要件に準じて判断されます。
- 労働条件通知書は別に必要:採用通知書は労働基準法15条の明示義務を果たすものではありません。入社までに労働条件通知書を必ず交付します。
- 聞いてはいけないこと:本籍・出生地、家族の職業や収入、思想信条、宗教などは、就職差別につながる項目として厚生労働省が収集しないよう求めています。提出書類にも含めません。
- 不採用者への配慮:応募書類は返却するか、責任をもって廃棄します。個人情報を利用目的の範囲外で使い回さないようにします。
よくある質問
Q. 採用通知書と内定通知書は違いますか?
A. 実務上ほぼ同義で使われます。新卒採用では「内定通知書」、中途採用では「採用通知書」と呼ぶことが多い程度の差です。
Q. 内定を出した後に取り消せますか?
A. 自由には取り消せません。解雇に準じた厳しい基準で判断され、認められない場合は損害賠償の対象になります。
Q. 応募者から内定を辞退されたらどうなりますか?
A. 労働者側からは2週間前の申入れで契約を解約できます(民法627条)。辞退を拒むことはできません。