ライセンス契約書の書き方
ライセンス契約書は、著作権・商標・特許などの知的財産を、他人に使わせるための契約です。譲渡と違い権利は手元に残り、使ってよい範囲だけを切り出して渡すのが本質。だから契約書の中心は「何を・どこで・いつまで・どう使ってよいか」の4点で、ここが曖昧だと想定外の使われ方をしても止められません。
ライセンス契約書の書き方 5ステップ
- 許諾者(甲)と利用者(乙)を書く
- 対象の知的財産を特定する(作品名・商標の登録番号と区分・特許番号など)
- 許諾範囲を書く(使い方・地域・媒体)
- ライセンス料(固定額か、売上に応じた率か)と契約期間を書く
- 独占かどうか・再許諾・改変・支払時期・契約終了後の扱いの取り決めが要るなら別に書面で定め、署名押印する
記入項目の書き方
- 許諾者(甲)・利用者(乙):会社名か氏名を書きます。
- 対象知的財産:著作物なら作品名と特定の情報、商標なら登録番号と区分、特許なら例の「特許第000000号」のように番号で書きます。
- 許諾範囲:例の「日本国内における製造・販売」のように、使い方と地域を書きます。「自社サイトへの掲載に限る」のように媒体と用途を絞ると、想定外の使われ方を止められます。
- ライセンス料:例の「売上の3%」なら、率をかける元(総売上か、返品などを引いた純売上か)も書きます。支払時期を書く欄は無いので、別に定めます。
- 契約期間:例の「3年」のように書きます。終わった時に残っている製品や掲載物をどうするかも決めておきます。
- 独占・改変:独占かどうかと、改変してよいかを書く欄は無いので、別に定めます。著作物を改変するなら、著作者の同意を得ておきます(同一性保持権・著作権法20条)。
書き方の注意点
- この書式に入っている条文:印刷すると、頭の一文(甲の知的財産の利用許諾について契約を締結する)と入力した項目のあとに、「反社会的勢力の排除」「協議解決」「合意管轄(被告の住所地の裁判所)」の3つの条文が入ります。
- 著作者人格権は譲渡できない:公表権・氏名表示権・同一性保持権からなる著作者人格権は、譲り渡せません(著作権法18条〜20条・59条)。改変を伴う使い方なら、著作者の同意を取っておきます。
- 独占の意味をはっきり:「独占的」と書くだけでは、権利者自身が使えるのかが分かりません。ほかの人に許諾しないだけなのか、権利者も使わないのかを分けて書きます。
- 商標は使わないと取り消されうる:継続して3年以上、日本国内で商標権者・専用使用権者・通常使用権者のいずれも登録商標を使っていないと、誰でも取消しの審判を請求できます(商標法50条)。ライセンス先の使用の記録を残す取り決めをしておきます。
- 再許諾:許諾を受けた人は、許諾された使い方と条件の範囲内で使えます(著作権法63条2項)。その使う権利は、著作権者の承諾が無いと譲れません(63条3項)。第三者にさらに使わせてよいかは、契約で決めておきます。
- 収入印紙:著作権・特許権などの権利そのものを譲る契約書は第1号の1文書ですが、使う権利(実施権・使用権)を与える契約書はこれに当たりません(国税庁 質疑応答事例「無体財産権の範囲」)。
よくある質問
Q. ライセンスと著作権譲渡はどう違いますか?
A. 譲渡は権利そのものが移ります(著作権法61条)。ライセンスは権利を持ったまま、決めた範囲で使うことを許すだけです(63条)。
Q. 口頭のライセンスでも有効ですか?
A. 契約は書面が無くても成立します(民法522条2項)。ただし範囲で争いになりやすいので、とくに独占の有無と改変してよいかは書面にしておきます。
Q. 料率はどのくらいが相場ですか?
A. 分野により大きく異なります。契約前に、算定基礎(総売上か純売上か、返品をどう扱うか)を明確にするほうが、料率の数字より重要です。
参考(2026年11月時点):著作権法(e-Gov法令検索)・商標法(e-Gov法令検索)・質疑応答事例「無体財産権の範囲」(国税庁)・No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで(国税庁)・民法(e-Gov法令検索)