雇用契約書の書き方
雇用契約書は、会社と労働者が労働条件について合意したことを示す契約書です。労働基準法で交付が義務づけられているのは労働条件通知書のほうで、雇用契約書の作成自体は義務ではありません。それでも作るのは、双方の署名で「合意した」証拠が残るから。実務では両方の役割を兼ねた「労働条件通知書 兼 雇用契約書」が広く使われます。
雇用契約書の書き方 5ステップ
- 契約期間(無期か有期か)と、有期なら更新の有無・判断基準を書く
- 就業場所と業務内容を、変更の範囲も含めて書く
- 労働時間・休憩・休日・休暇を書く
- 賃金の額、計算方法、締日と支払日、昇給の有無を書く
- 退職・解雇に関する事項を書き、2部作成して双方が署名押印する
記入項目の書き方
- 契約期間:有期契約は原則3年(専門的知識を有する者や60歳以上は5年)が上限です。
- 試用期間:設けるなら期間と、本採用しない場合の基準を書きます。試用期間中でも解雇には合理的理由が必要です。
- 就業場所・業務:2024年4月から変更の範囲の明示が必要になりました。転勤や職種変更の可能性を書きます。
- 賃金:基本給と各手当を分けて書きます。固定残業代を含むなら、何時間分でいくらかを明記しないと無効とされることがあります。
- 社会保険:健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の加入の有無を書きます。
- 退職に関する事項:定年年齢、自己都合退職の申出期限、解雇事由を書きます。
書き方の注意点
- 労働条件通知書との違い:通知書=会社から労働者への一方的な通知で交付が法律上の義務/契約書=双方の合意を示すもので義務ではない。兼用にする場合は、通知書として必要な明示事項をすべて満たしているか確認します。
- 就業規則との関係:雇用契約の条件が就業規則の基準を下回る場合、その部分は無効となり就業規則の基準が適用されます(労働契約法12条)。
- 固定残業代:①金額 ②何時間分か ③超過分は別途支払う旨、の3点を明示しないと、固定残業代として認められず未払い残業代を請求されるリスクがあります。
- 有期契約の無期転換:有期契約が通算5年を超えて更新された場合、労働者の申込みにより無期契約に転換されます(労働契約法18条)。
- 保存期間:労働関係に関する重要書類として、退職・解雇の日から5年(当面の経過措置として3年)の保存が必要です。
よくある質問
Q. 雇用契約書は必ず作らないといけませんか?
A. 法律上の義務は労働条件通知書の交付です。ただし合意の証拠として、また後の紛争防止のため、契約書の形にしておくことを勧めます。
Q. 電子契約でも有効ですか?
A. 有効です。労働条件の明示についても、労働者が希望すれば電子メール等での明示が認められています。
Q. 契約書の内容を後から変更できますか?
A. 労働者に不利益な変更は原則として本人の同意が必要です(労働契約法8条・9条)。同意は書面で残してください。