前回のあらすじ

【第5回】進化編では、Stripe決済、LP制作、自動メール配信と、「売る仕組み」を全部自分で作り上げた話を書いた。

プロダクトは完成し、販売も始まった。しかしここで、技術的な壁にぶち当たる。

GASの限界

影武者システムはGoogle Apps Script(GAS)で動いていた。GASはGoogleが提供する無料のスクリプト環境で、スプレッドシートやカレンダーとの連携が簡単にできる。

最初はこれで十分だった。でも製品として運用するうちに、限界が見えてきた。

GASの壁

自分だけが使うツールなら問題にならなかった。でも複数のユーザーが使う製品として、これは致命的だった。

「引っ越し」という決断

👨
GASが限界かもしれない。もっと速くて安定してるものに引っ越したいんだけど、何がいい?
🟠
Cloudflare Workersはどうでしょう。世界中のエッジで動くので爆速です。無料枠も大きい。既にCloudflareアカウントがあるなら移行しやすいですよ。
👨
エッジ?ワーカー?…日本語で頼む

正直、「Cloudflare Workers」と聞いても何のことかわからなかった。

Claude Codeが説明してくれたのはこういうことだ:

GAS(今まで)

Googleのサーバー1箇所で動く

リクエストが来たらGoogleが処理

距離が遠いと遅い

実行時間6分制限

無料だが制約が多い

Cloudflare Workers(引っ越し先)

世界中300箇所以上で動く

ユーザーに一番近いサーバーが処理

爆速(数ミリ秒)

実行時間の制限が緩い

無料枠が太い

ものすごく簡単に言うと、「1つの店舗(GAS)」から「全国チェーン(Workers)」に引っ越すようなものだ。お客さんは一番近い店舗で対応されるから、待ち時間が激減する。

未経験者がサーバー移行をやる恐怖

これがどれほど怖い決断だったか、伝わるだろうか。

動いているシステムを、まったく別の環境に移す。コードを書いたことがない人間が。一歩間違えれば、既存ユーザーのシステムが止まる。

5段階
移行フェーズ
0件
移行中の障害
数ms
移行後のレスポンス

Claude Codeは移行を5つのフェーズに分けて、段階的に進めてくれた。

Phase 1: API基盤構築

新しいWorkers環境を作り、基本的なAPI(通信の窓口)を整備する。

Phase 2: 認証・セキュリティ移行

ユーザー認証やセキュリティの仕組みをWorkersに移す。

Phase 3: コア機能移行

勤怠管理の中核機能をWorkersで動くように書き換える。

Phase 4: 決済・メール連携移行

Stripe Webhookやメールの仕組みをWorkersに接続する。

Phase 5: GAS完全撤廃

旧環境を停止し、すべてWorkersで動く状態に。

一気にやるのではなく、一つずつ確認しながら進める。新しい環境でテストして、問題なければ切り替える。何かあればすぐ戻せるように、旧環境も残しておく。

プログラミング未経験の自分でも、この「慎重に、段階的に」というアプローチなら恐怖を乗り越えられた。

現在の技術スタック

移行が完了した今、影武者システムはこんな構成で動いている。

役割技術何をしてるか(簡単に)
サーバー処理Cloudflare WorkersAPIの処理、認証、決済連携
ユーザーデータGoogle Spreadsheet勤怠記録の保存(ユーザーのアカウント内)
カレンダー連携Google Calendar API授業予定の読み取り
決済Stripe月額課金の管理
LP・ブログCloudflare Pagesウェブサイトのホスティング
セットアップGoogle Apps Scriptユーザー環境の自動構築(これだけGAS)
セットアップだけGASが残っている理由
ユーザーのGoogleアカウント内にスプレッドシートやスクリプトを作る作業は、Google自身のサービス(GAS)でしかできない。ここだけは引っ越しできない。でもそれ以外はすべてCloudflare上で動いている。

未経験者が技術選定をするということ

面白いのは、プログラミング未経験の自分が「技術選定」をしているという事実だ。

GASかWorkersか。Firebase HostingかCloudflare Pagesか。REST APIかWebhookか。

これらの判断は、従来ならCTOやテックリードの仕事だ。でもAIがそれぞれの選択肢のメリット・デメリットを説明してくれて、現状の課題に照らし合わせて提案してくれる。

最終決定は自分がする。でも判断材料はAIが揃えてくれる。

これが2026年の開発のリアルだ。

次回予告

【第7回・最終回】現在と未来編 — プログラミング未経験者が作ったSaaSの今。そしてこれからどこに向かうのか。この連載の締めくくり。

家庭教師の勤怠管理、まだ手作業でやってませんか?

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