前回のあらすじ

【第1回】きっかけ編では、個人家庭教師として6年間、手作業の勤怠管理に苦しんできた話を書いた。

そしてSNSで「AIにコードを書かせてアプリを作った」という投稿を見かけ、自分もやってみようと決意した。

ここから地獄が始まる。

ChatGPTとの出会い ― 希望の光

当時、世の中で一番有名だったAIはChatGPTだった。

「コードを書いてくれるAI」と聞いて、真っ先に思い浮かんだのがこれだった。早速アカウントを作って、聞いてみた。

👨
家庭教師の勤怠管理システムを作りたい。Googleカレンダーと連携して、授業記録を自動で集計してくれるやつ。
🤖
もちろんです!Google Apps Script(GAS)を使えば実現できます。以下のコードをスクリプトエディタに貼り付けてください。

出てきたコードをコピーして、言われるがままにGoogleのスクリプトエディタに貼り付けた。

動いた。

この瞬間、「自分にもできるかもしれない」と本気で思った。

これが罠だった。

地獄その1:無限コピペ・デプロイ

ChatGPTは「コードを書く」ところまではやってくれる。でも、そのコードはチャット画面の中にある

つまりこういうことだ。

ChatGPTにコードを書いてもらう

「こういう機能を追加して」と頼む。コードが出てくる。

コードを全選択してコピー

チャット画面からコードブロックをマウスで選択。Ctrl+C。

スクリプトエディタに貼り付け

ブラウザのタブを切り替えて、既存コードを全消し、Ctrl+V。

保存して実行

エラーが出る。ChatGPTに戻って「エラー出たよ」と伝える。

最初に戻る

修正コードが出てくる。またコピー。またペースト。またエラー。

これを1日に何十回もやる。

ファイルが1つならまだいい。でも機能が増えてくるとファイルが増える。3つ、4つ、5つ…。それぞれのファイルを、毎回チャットからコピーして、正しいファイルに貼り付けて、保存して、実行する。

1日のコピペ回数
5+
管理するファイル数
0
自動化されている工程

「AIで自動化」しようとしてるのに、AIとのやりとり自体がまったく自動化されていない。この矛盾に気づいた時の絶望感は忘れられない。

地獄その2:修正できないGPT

ここからが本当の地獄だった。

バグが出る。当然だ。プログラミング未経験者がAIに書かせたコードだ。バグがないわけがない。

ChatGPTにエラーメッセージを投げる。修正コードが返ってくる。貼り付ける。

別のところが壊れる。

👨
このエラー直して。TypeError: Cannot read properties of undefined
🤖
申し訳ありません!以下のように修正してください。
👨
今度は別の関数でエラーが出るようになった
🤖
なるほど、では以下のように変更してみてください。
👨
最初のエラーが復活したんだが???
🤖
大変失礼しました!こちらのコードで解決するはずです。

永遠にこれ。 Aを直すとBが壊れ、Bを直すとAが復活する。モグラ叩き。出口のないモグラ叩き。

なぜこうなるかというと、ChatGPTはファイル全体を見ていないからだ。こっちが貼り付けたエラーメッセージと、直前の会話の流れだけで「多分こうだろう」と推測してコードを吐く。でも実際のコードベース全体を把握していないから、修正が的外れになる。

地獄その3:前のことを忘れるGPT

そして最大の絶望がこれだった。

ChatGPTには会話の長さの限界がある。長くやりとりしていると、初期の文脈を忘れる。

どういうことかというと――

実際にあった悪夢
3時間かけてシステムの仕様を説明し、一緒にコードを組み上げた。途中までうまく動いていた。しかし終盤でバグが出て修正を頼んだら、「このシステムの仕様を教えていただけますか?」と返ってきた。お前と3時間かけて作ったやつだよ。

これが一度じゃない。何度も起きる。

長い会話になるほど、最初のほうで決めた仕様を忘れる。関数名を間違える。存在しない変数を使い始める。さっき自分が書いたコードと矛盾するコードを平気で提案してくる。

👨
さっき作った getMonthlyData 関数を使って集計して
🤖
かしこまりました!fetchMonthlyRecords関数を作成しますね。
👨
いや、それさっき getMonthlyData って名前で作ったじゃん
🤖
大変失礼しました! getMonthlyData ですね。以下のように修正します。
👨
…(中身も変わってるんだが)

プログラミング未経験の人間が、AIの出力が正しいかどうかを判断しなきゃいけない。しかもAI自身が前の文脈を覚えていない。

これは地獄以外の何物でもなかった。

心が折れかけた

何週間もこの作業を続けた。

来る日も来る日も、コピペ。エラー。修正。コピペ。別のエラー。修正。前のエラー復活。コピペ。文脈忘れ。説明し直し。コピペ。

期待していたこと

AIに「作って」と言えばシステムができる

コードが書けなくても問題ない

数日で完成するだろう

現実

無限のコピペ作業が発生

AIが出したコードの正しさを自分で判断できない

何週間経っても完成しない

本気で思った。もうやめようか、と。

でも、6年間の「めんどくさい」は消えない。毎月の月末は来る。手作業は終わらない。

そんな時だった。Claude Codeというものの存在を知ったのは。

次回予告

【第3回】Claude Codeとの出会い編 — 「AIがコードを書く」のではなく「AIがコードを直接ファイルに書き込む」。この違いが、すべてを変えた。

この連載について
この記事は実話に基づいています。ChatGPTは素晴らしいツールですが、「コードを書いてチャットに表示する」という体験と「ファイルを直接編集してくれる」という体験は、プログラミング未経験者にとってまったく別物でした。これはツールの優劣ではなく、ユースケースの違いです。

家庭教師の勤怠管理、まだ手作業でやってませんか?

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